【なぜ日本人、輸入商用車が好き?】カングーやベルランゴ 古くはアストロも 「わざわざ」選ぶ真の理由

公開 : 2020.07.25 05:50  更新 : 2023.01.23 13:43

日本ではルノー・カングーが根強い人気。フランスでは商用車ですが、ミニバンっぽく乗用している一般家庭が多いです。日本特有の文化を振り返るとアストロの名が。なぜ「わざわざ」商用車を自家用にするのか。考察します。

輸入商用車 日本ならではの楽しみ方

text:Kenji Momota(桃田健史)

周知の通り、日本ではルノーカングーが根強い人気を誇る。

フランスでは商用車であり、日本でもベーカリー、フラワーショップ、アパレルショップなどで商用として使われることがあるが、ミニバンっぽく乗用している一般家庭も多い。

ルノー・カングー
ルノー・カングー    ルノー

そんな、日本でカングー人気が高い背景について、AUTOCAR JAPANで実車でのキャンプ体験をもとに探っている。

同記事にもあるが、AUTOCARの本国である英国でも、カングーを乗用化する流れが見えてこない。

日本でのフランス商用車人気の流れは、シトロエンベルランゴにも及んでる。2019年10月の日本市場デビューエディション限定100台が、ネット販売開始から5時間半で完売したニュースは記憶に新しい。

2020年2月上旬に神奈川県大磯町で開催された、毎年恒例のJAIA(日本自動車輸入組合)の輸入車試乗会でも、試乗予約時点でベルランゴ人気は明白になった。

ドイツ車に比べて、日本ではマイナーな欧州輸入車であるフランス車で、カングーやベルランゴが際立って注目されるという、この現実。

ユーザーからは「オシャレだから」「日本車にはないデザインだから」「ディーゼルのミニバンを探していたから」といった声がよく聞くのだが、もっと奥深い理由があるように思える……。

80年代 ミニバン常用化のはじまり

そもそも、ミニバンは「VAN(バン)」であり、「バン」とは商用車を指す言葉だ。

商用車では、荷台が屋外にあるトラックと、荷台部分がボディとして覆われているバンという2つの形式が主流だ。

2019年2月18日に、フィリピンにおいてハイエースの海外向け新シリーズを世界初披露している。
2019年2月18日に、フィリピンにおいてハイエースの海外向け新シリーズを世界初披露している。    トヨタ

または、セダンを基調として、車体後部をトランク形状ではない大きな荷室形状にしたものも、バンである。

これはステーションワゴンといった、ワゴンとして乗用化されていったが、近年ではSUVにその座を奪われるようになった。

日本で「バン」の乗用化が社会現象となったのは、80年代に入ってからだ。

きっかけは、82年登場の3代目トヨタ「ハイエース」だ。ミニバンではなく、あくまでもワンボックスカーと呼ばれた。

当時、筆者は日本国内でレース活動をしていたが、様々なレースチームでハイエースの車内をカスタイマイズするのがトレンドになっていた。

その他、釣り、キャンプ、ハイキング、スキーなどのレジャー向けの「動く部屋」といったイメージが強かった。

こうした流れが、ハイエースと同時期にこちらは2代目へとフルモデルチェンジした「タウンエース」へと波及する。

いま振り返ってみると、80年代のワンボックスカーブームとは、車内空間が広いモデルが他になかったので商用車を使うが、商用車っぽさを極力消すようなカスタイマイズをするというトレンドだった。

90年代に入り、状況が一気に変わった。

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