【コンパクトカーの新ドライビング体験】ホンダeアドバンス 英国試乗
公開 : 2020.07.31 10:20 更新 : 2020.08.18 14:06
シティカーとして、あえて短い航続距離に設定された、ホンダの新しい電気自動車「e」。興味を掻き立てられるテクノロジー満載ですが、郊外へ少し足を伸ばしたくなる運転の楽しさも備えていると、英国編集部は評価します。
もくじ
ー200kmの航続距離をどう受け取るか
ードライバーの気持ちをくすぐる性格
ー車内はラウンジのように素敵な雰囲気
ーコンパクトカーと純EVの良いとこ取り
ーコンパクトカーの新しいドライビング体験
ーホンダeアドバンス(英国仕様)のスペック
200kmの航続距離をどう受け取るか
キュートな見た目に充実した装備。良く作り込まれた、ホンダ初の量産電気自動車が「e」だ。何度かご紹介しているが、その評価は200kmという航続距離をどう受け取るかで変わる。
現在購入できる純EVとしては、航続距離が比較的短い。200kmという数字が、ホンダeの購買層と実際の利用条件に、大きな影響を与える。純EVの場合、高めに設定されがちな価格以上に、大きな要素だと思う。
ホンダeの英国価格は、政府の補助金を差し引いた状態で、ベースモデルが2万6000ポンド(348万円)。上級グレードのアドバンスを選択し、いくつかの有力オプションを追加すれば、3万ポンド(402万円)近くになる。
ホンダも、純EVにとって航続距離が話題の軸の1つなことは理解済み。シティカーとして、慎重に表現している。英国の平均的なドライバーの1日の通勤距離が、Eの航続距離の20%に留まることにも触れている。
つまり、郊外に住まう人が1週間通勤するのに、充分な距離を走れることになる。もしそれ以上の距離を走りたいなら、別のモデルを選んだ方が良い。あるいは、セカンドカーにするか。
一方で、ホンダeで見逃せないのが、くりっとした丸目のデザインと、ドライバーへの訴求力。シンプルでモダンなデザインは、1972年に登場したホンダ・シビックを彷彿とさせる。現在のコンパクトカーの中では、特にユニークなデザインに仕上がっている。
ドライバーの気持ちをくすぐる性格
ステアリングホイールを握れば、その他大勢の純EVとは異なることが、すぐにわかる。サスペンションは、スプリングが硬く減衰力の足りない、コンパクトなライバルEVとは違う。都市や通勤といった言葉以上の、ドライバーの気持ちをくすぐる性格がある。
ホンダがeで主張することは、クルマ好きなら理解できるだろう。全長は3.9m。小さいバッテリーの容量は35.5kWhだが、車重は軽い仕様なら1514kgに留まる。
航続距離の長い大きなバッテリーを与え、全長を200mm延ばすこともできる。すると車重は150kg重くなり、Eより価格帯が上の、別のモデルが生まれてしまう。
小さなバッテリーだから、充電時間も短い。急速充電器なら、20%の状態から80%まで30分で済む。家庭用の充電器でも、4〜5時間ほどで満充電にできる。充電口は、ボンネット上。タイプ2と呼ばれるソケットに対応する。
航続距離の範囲内で運転する限り、eは特別なコンパクトカーだと気づく。ホンダもそれを狙っているようだ。
前輪駆動の新しいフィットにも、ホンダはeと同様のバッテリーを搭載できたかもしれない。車高は高く、車内もやや広い。しかし、電気自動車専用の後輪駆動プラットフォームを新しく開発している。
前後の重量配分は50:50と良好。サスペンションはフロントがマクファーソン・ストラット式、リアがマルチリンク式を選んでいる。後輪駆動だから前輪の自由度が増し、小回りも効かせられる。ロンドンタクシーを上回る、最小回転直径8.6mを実現した。