【環境に優しいGTI】フォルクスワーゲン・ゴルフGTEに試乗 走りの良いPHEV
公開 : 2020.09.05 10:20
素晴らしい仕上がりの、8代目フォルクスワーゲン・ゴルフGTI。そのGTIに迫る動的性能を、優れた環境負荷で叶えたのがPHEV版のGTEです。EVモードでの航続距離が、62kmへ延びている点も特長といえるでしょう。
バッテリーは9.0kWhから13.0kWhへ拡大
フォルクスワーゲン・ゴルフのGTEとして、2代目が登場した。未来へクルマをつなぐ、大切なグレードだ。
初代GTEが登場したのは2014年。欧州では前輪駆動のハッチバックとして、PHEVのスタンダードを築いた。アウディA3 eトロンと同じハイブリッド・システムを搭載し、フォルクスワーゲンらしい優れた装備と手頃な価格が魅力だった。
2代目ゴルフGTEも、その特徴は変わらない。1.4L 4気筒ターボエンジンと、6速デュアルクラッチAT内蔵の電気モーターが組み合わさり、前輪を駆動する。
バッテリーの容量は、先代の9.0kWhから13.0kWhへと拡大。EVモードでの走行可能距離は12km増えて、62kmとなった。
バッテリー容量に対し、EVモードでの航続距離の延びが小さく見える。だが電気モーターの高効率化と、回生ブレーキの改良によって、現実環境での後続距離は大幅に長くなったという。
一方で、高圧力で稼働するインジェクターを得たガソリンエンジンの最高出力は、変わらず150ps。ID.3にも採用される技術を投入した電気モーターは、9ps増しの108psと33.5kg-mを発生する。
システム合計では、最高出力245ps、最大トルク40.7kg-mを生み出す。英国へは未導入だが、より穏やかなPHEV版ゴルフ、eハイブリッドと比べると41psと5.1kg-mも強力。位置付けとしては、環境に優しいGTIということになる。
バッテリーはリアシートの下にの搭載。燃料タンクは荷室の床下に移設されている。前後重量配分は、ゴルフGTIより優れている。
反応が良く速い、EVモードでの都市部での走り
バッテリーの車重は135kgもあり、車重は1624kg。GTIと比べると、176kgも重い。3.6kWの容量の充電器を用いれば、3時間40分で満充電にできる。
プラグイン・ハイブリッドという先進的な技術は、イノビジョン・コクピットの雰囲気とよく合う。メーターパネルは10.3インチのモニターで、グラフィックはブルーを基調にデザインされている。
ダッシュボードの中央には、10.0インチのインフォテインメント用タッチモニターが据えられる。システムの操作性は、シンプルでわかりやすい。
走行モードは、基本設定として2種類。1つはEモードと呼ばれるもので、電気モーターの力だけで走行する。もう1つのハイブリッド・モードは、ガソリンエンジンと電気モーターを、協調させて走行する。
Eモードで走り出す。電気モーターらしく、力強いトルクをほぼ無音で湧出する。遠くからハミングのような唸りが聞こえてくるが、これは歩行者へ自車の存在を知らせるために、欧州で義務付けられている人口音。モーター音ではない。
都市部を走っている限り、電気モーターだけで走るGTEは反応が良く、速い。
回生ブレーキの強さは、4段階で切り替えられる。運動エネルギーから熱エネルギーとしての放出を抑え、電気エネルギーとしてバッテリーに蓄えられる。
ハイブリッド・モードへ切り替えてみる。動的性能が目に見えて高まる。ただし、電気モーターで感じていた上質さが犠牲になる。特に常用域で、エンジンから耳障りなサウンドが響く。少しボリュームが大きく感じるほど。