【英国のクラシック博物館】懐かしのトヨタ車 初代RAV4、レクサスLFAも
公開 : 2020.09.22 16:50 更新 : 2021.01.28 18:33
トヨタとレクサスの歴史的なモデルを修復、保管する施設が英国にあります。1994年のRAV4からレクサスLFA、初代MR2などさまざまなクラシックモデルを展示中。AUTOCARはRAV4に試乗しました。
若者向けのライトな4×4
1994年5月、英国では歴史的な出来事がいくつも起きた。
芝生の上ではマンチェスター・ユナイテッドがFAカップ決勝でチェルシーを4-0で破り、海の中では英仏海峡トンネルが開通。そして陸の上では、トヨタが史上最も大胆なモデルの1つであるRAV4を発売したのである。
兵士よりもサーファーのことを考えてデザインされた、曲線的で風変わりな4WD車、RAV4。古風なジープ・ラングラー、ランドローバー・ディフェンダー、そしてトヨタ自身のランドクルーザーのファンにとっては冒涜とも言えるモデルかもしれない。
しかし、RAV4は彼らのために作られたのではない。サーフィンやハイキング、登山が好きな若者のために作られ、現代のクロスオーバーの基礎を築いたのだ。
AUTOCARが初めて英国でRAV4を運転したのは、1994年にフォード・エスコートRS2000と並んで行われた比較テストの時だった。奇妙な組み合わせのように思えるが、2台はそれぞれコンパクトなファミリーカーとして、4輪駆動とスポーツ性を備えていた。
エスコートがパワーの面で優位に立っていたものの、RAV4は約65kgも軽量だった。それに、RAV4が登場したときはまだ、日産ジューク、フォード・ピューマ、シュコダ・カロークといったライバルは存在しなかったのだ。
RS2000のようなホットハッチは一般のドライバーが保険をかけることがほとんど不可能になっていたし、ラングラーやランドローバー・ディスカバリーのような従来型のオフロード車は日常的な使用には不向きで、燃費も悪かった。
現代のクルマにはない魅力
RAV4が登場したことで、新しいニッチが開拓された。RAV4は本質的に両セグメントの間に位置し、使いやすさ、楽しさ、手頃さを提供していた。
RAV4は特に速いわけではなかったが、AUTOCARのテストで証明された8.8秒という0-100km/hのタイムは、ラリーで鍛えられたエスコートに恥をかかせるには十分だった。
今改めてハンドルを握ってみると、この丸みを帯びた小さな4×4が持つパフォーマンスは、かなり控え目だということに気付く。
賑やかな3気筒ターボやトルクのあるディーゼルエンジンを搭載している今日のスポーティなコンパクトSUVと比べると、RAV4の自然吸気2.0Lエンジンは少し根性が足りないように感じられるし、アイドリング時のゴロゴロという音は、ビーチというよりはむしろ納屋を連想させる。
しかし、ギアを上げていくと、RAV4の永続的な魅力がどこにあるのかが明らかになる。誰もいない平坦な郊外の道でさえ、今日のコンパクトモデルにはしばしば欠けているクロスオーバーの本質を思い出させる。
RAV4の堅実さは確かにそこにあり、オフロード性能もライバルとは一線を画す。これまでに製造されたRAV4の約90%がいまだに走行可能なのも不思議ではない。
車内はグレーのプラスチック、黒のビニール、鈍重なマニュアルなど、今日の基準では刺激的とは言えないが、その正直さにはある種の魅力がある。ノスタルジックな決まり文句にはまることなく、今のクルマよりもはるかに直感的にレイアウトされている。
その気取りのなさは、不朽の人気と相まって、今公道を走っていても、誰も立ち止まってじっと見たり、声をかけたり、SNS用の写真を撮ろうとしたりしない理由となっている。これは、内向的な人にとって理想的な準クラシックカーだ。