【もう少しでクラスリーダー】ルノー・キャプチャー Eテック PHEVへ試乗
公開 : 2020.09.14 10:20
欧州では堅調な人気を誇るクロスオーバーのルノー・キャプチャー。乗り心地と加速感を指摘するものの、追加となったPHEVは、さらに人気を牽引することになると英国編集部は評価します。一般道で評価しました。
電動化技術の採用が加速するルノー
ルノーによる電動化技術の採用が加速している。ハッチバックの純EV、ゾエがイメージを牽引する一方、カングーZEは純EVの商用車として、欧州のベストセラーになっている。
普通のドライバーが手を伸ばしやすい、パワートレイン構成も拡大中。ハッチバックのクリオ(ルーテシア)にハイブリッドが追加され、SUVのキャプチャーには、プラグイン・ハイブリッドが採用された。
そのキャプチャー Eテックがベースとするのは、ルノー・日産・三菱アライアンスによるCMF-Bプラットフォーム。自然吸気の1.6L 4気筒エンジンに、49kWの出力の電気モーターと、スターター・ジェネレーターが組み合わされている。
バッテリーは、リアシートの下。容量は7.5kWhで、EVモードで48kmの距離を走行可能だ。
英国の場合、ウォールボックスと呼ばれる家庭用充電器を無償で提供しており、3時間で満充電にできる。トランスミッションは、専用開発の6速ATを積む。
システム総合での最高出力は、160psと少々控えめ。最大トルクは非公表だが、エンジン単体では3200rpmで14.2kg-mを発生するという。モーターは、25.3kg-mとなっている。
0-100km/h加速は10.2秒。同じパワートレインを積むメガーヌのEテックより、0.3秒だけ遅い。
インテリアのデザインは、フランスらしいオシャレさに溢れている。ダッシュボードやドアパネルにはソフト加工された素材が用いられ、触れた時の上質感を引き立てている。
従来以上に優れるハンドリング
スイッチ類の一部は少し安っぽい。ギアセレクターのハウジングは、やや組付けが甘い。それでも、キャプチャーの車内はとても好印象だ。
リアシートはベンチタイプで、スライドが可能。足元の空間は大きく取れるが、頭上空間はやや狭い。それでも、平均的な身重の大人なら充分快適に座れるだろう。
荷室空間は、PHEVではないキャプチャーの422Lと比べて、やや小さい379Lとなる。
走り出してみると、足回りは引き締められ、姿勢制御は抑制が効いている。その結果、クロスオーバーとしては、従来以上に鋭い操縦性を獲得している。
グリップ力やスタビリティに不足はなく、ステアリングの重み付けも良好。ステアリングホイールの切り始めから、爽快な反応が得られる。コーナリング・スピードを上げても、ボディロールは穏やかだ。
そのかわり路面の荒れた区間では、乗り心地で落ち着きが失われやすい。継ぎ接ぎだらけの市街地を、低速で走行すると明らか。細かい突き上げなどは、充分に和らげてくれる。
フォード・プーマの方が、乗り心地は滑らかかもしれない。しかもプーマは、コンパクト・クロスオーバーの中でも、特にシャープな操縦性も備えている。
一方で、今のところプラグイン・ハイブリッドは選べない。ルノー・キャプチャーのパッケージングは、ライバルより有利だといえるだろう。
高負荷時の洗練性でも優れている。エンジンの回転数が高まると、ノイズが耳に届くようになるが、それでも遠くから響く程度。耳障りになることはない。