【スーパーカー黄金時代】フェラーリF40、ホンダNSX、イズデラ・インペレーター 前編
公開 : 2020.09.26 07:20 更新 : 2021.08.05 08:08
ランボルギーニ・カウンタックやフェラーリ・テスタロッサに前後して、自動車ファンや子供の心を強く掴む、スーパーカーが相次いで登場しました。スーパーカー黄金期と呼べるでしょう。その一部を、英国編集部がご紹介します。
世界を動かしたスーパーカー黄金時代
スーパーカーの起源にはさまざまな意見があり、話し始めると際限がない。ガルウイングを備えたメルセデス・ベンツ300SLだという人もいれば、ランボルギーニ・ミウラだと主張する人もいるだろう。
イタリアのランボルギーニやフェラーリが、黄金期を主導したことは間違いない。そして年々、スーパーカーの「スーパー」ぶりは加熱していった。
ドイツや日本のブランドからも一端のスーパーカーが投入され、イタリアン・ブランドも黙っていられなかった。これまで以上の、デザインとパフォーマンスが求められた。
そんなヒートアップした時代が生んだスーパーカーは、世界を動かすほどの勢いがあった。少年の部屋にはポスターが貼られ、最高速度の記録が本に刻まれた。
ロードカーとしての頂点を飾った、ランボルギーニ・カウンタックやフェラーリ・テスタロッサ。ラリー界を席巻したフォードRS200や、変わり種のコンスライアーGTPといったマシンも登場。
1980年代は、ビンテージイヤーと呼べる年代だった。スピードやスタイリングが、カリスマ性やブランドを醸成した。
今回は1980年から1990年にかけて登場したスーパーカーの中から、8台をご紹介しよう。都合により、カウンタックとテスタロッサは含まれていない。ご了承いただきたい。
フェラーリF40
1987年に誕生したフェラーリF40ほど、最高の誕生日プレゼントはないだろう。マラネロの創設40周年を記念して作られた、エンツォ・フェラーリ自らが関与した最後のモデル。288GTOの後継車ともいえる。
1990年代を先取りした技術を多用するポルシェ959とは異なり、どちらかといえば1970年代の、旧来的な技術で成り立っている。設計を進めたのは、レース界での経験豊富なニコラ・マテラッツィだった。
当初から、生々しく直感的なマシンが目指されていた。フェラーリはソフトでラグジュアリーになったと批判する人々へ、サーキット生まれの美声で答えた。
エンジンは288GTO譲りとなる、インタークーラー・ツインターボのV8。排気量2936ccから、477psと58.7kg-mを絞り出した。前後ダブルウイッシュボーン式のサスペンションも、288GTOが起源。
ボディデザインは、ピニンファリーナ社のレオナルド・フィオラヴァンティとピエトロ・カマルデッラ。ケブラーとアルミニウムを積極的に利用し、車重は1254kgしかない。
0-97km/h加速は4.1秒、最高速度は323km/hに達した。ランボルギーニ・ディアブロの登場まで、一部の少量生産車を除き、量産モデルとしては320km/hを超えた唯一の存在だった。
新技術の見本市的なポルシェ959と比べると、F40はやや時代遅れ。しかし、その純粋さが、F40最大の魅力でもある。
史上最高のスーパーカーの1台として、今も高い評価を集めるフェラーリF40。電子技術や安全デバイスが関与しない、混じりけのないドライビング体験を提供してくれる、最後のフェラーリといえる。