【時間をかけて味わう】ホンダe アドバンス(1)長期テスト 好き嫌いを二分
公開 : 2020.09.20 11:50
見た目や走りなど、魅力たっぷりの小さな電気自動車、ホンダe。航続距離の比較的短い純EVと一緒の暮らしは、どんなものになるのでしょう。日常にどのようにフィットするのか、長期テストで英国編集部が確かめます。
初回 好き嫌いが分かれるホンダe
筆者はホンダeのルックスがとても好きだ。同僚の多くも同じ意見。
見た目の良い小さな電気自動車は、同じくらい毎日の暮らしを夢中にしてくれるだろうか。とても期待している。
ホンダeに対する反応は、賛否両論。「カセットテープ・プレイヤーみたい」という人もいるし、「凄くカッコいい」と話す人もいる。「ミニカーみたい」「複数のカメラの機能が素晴らしい」「日産キューブとミニをかけ合わせたよう」。色々な意見が寄せられている。
クルマ好きの多くは、1970年代の初代ホンダ・シビックを再解釈したようなスタイリングに、高い評価を与えている様子。初代フォルクスワーゲン・ゴルフにも似ているかも。
クルマ好き以外の反応はどうだろう。ホンダeの場合、好きな人と嫌いな人に、英国では二分されるようだ。どちらでもない、という人は少ない。
AUTOCARでは、これまで何度かホンダeに試乗している。デザインや技術品質、革新性など、沢山の魅力を持っていることは確かめられた。一方で航続距離と価格という、ネガもある。
ホンダeのアドバンスと呼ばれるグレードの英国価格は、2万9160ポンド(408万円)から。政府の補助金を引いた後でも。
このお金があれば、航続距離が2倍近く長く、実用性に優れるプジョーe-208が手に入ってしまう。プジョーも、スタイリングは良い。
試乗評価では伝えられないeの魅力
ホンダeは、数字を計算して、頭で買うタイプのクルマではない。心が動かされて買うタイプのクルマだ。高い価格や、充電する回数は気にしない。思わずの、一目惚れ。
一般的に、好き嫌いのはっきり分かれるモデルを作る方が、リスクは少ない。本当に気に入った人は、実際に購入するからだ。もし、特長や個性の薄いホンダeのようなクルマが生まれたら、おそらく失敗するだろう。
BMWはミニを再発明し、フィアットは500を復活させた。両車ともに、全員が好きになったわけではないものの、間違いなく高い成功を収めている。加えてホンダeの強みは、スタイリングだけではない。
AUTOCARでの試乗評価の点数は、さほど高くはない。航続距離や価格も含めた総合的な評価をすると、残念ながらプジョーe-208と並ぶと分が悪い。客観的な評価が難しい魅力という部分は、試乗とは別の側面だったりする。
しかし長期テストなら、感性的な部分も含めて評価できる。欠点は受け入れつつ、多くの人に欲しいと感じさせる理由を、確かめることができるはず。
さて、ホンダeを簡単にまとめてみよう。ホンダ製の純EVとしては、欧州で売られる初めてのモデルで、アーキテクチャは専用開発。英国では、エネルギー効率を重視した135ps版のスタンダードと、154ps版のアドバンスとの、2段階のグレードが用意される。
アドバンスの方が装備は充実している。どちらも後輪駆動で、バッテリーのサイズは35.5kWhと同じ。