【日本で使われたドイツ車が高評価】欧州への「逆輸出」が増 日本ならではの理由 情報流通の変化も要因
公開 : 2020.09.12 05:50 更新 : 2022.03.25 18:51
いちど日本に輸入され、たいせつに所有されたドイツ車が、欧州へ里帰りする「逆輸出」が年々増加傾向にあるといいます。理由は日本ならではのきめ細やかなメンテナンスと走行距離。加えて情報流通の変化も要因に。
「逆輸入車」ではなく「逆輸出車」?
「逆輸入車」という言葉をお聞きになったことがある方は少なくないと思うが、今回のテーマは「逆輸出車」である。
逆輸出車とは日本に輸入/販売/登録/使用されてきた輸入車を再び生産された国を中心とする海外へ、中古車として輸出された状態のクルマだ。
「もともと海外から輸入されたクルマを本国に『輸出』して販売するってどんな意味があるの? 現地にだって当然、たくさんの中古車はあるでしょう?」
そう思う方もいるだろう。
しかし、日本からの逆輸出車は実は大きな意味がある。「日本で長年使われてきた中古車」であることに価値があるのだ。
日本車、外国車含め数多くの良質な中古車を海外へ輸出している「ユーティリタス(東京都小金井市)」の池谷祐一代表はこう話す。
「昨今、日本から海外へ輸出される中古車は年間130万台にのぼります」
「輸出先として台数が多いのはアラブ首長国連邦、ニュージーランド、ロシアの順ですが、その多くは日本の使用過程車を一般的な中古車として再販しているのが現状です」
「一方で一般的でない中古車、特殊な価値を有する日本の中古車というジャンルの輸出もあります」
「全体からするとわずかではありますが、25年ルールでアメリカに輸出される日本のスポーツカーなども含まれます」
「そして今、注目されているのは日本で正規販売された外国車を本国に逆輸出するパターンです」
極上のドイツ車を「逆輸出」 なぜ?
ちなみに、中古車の輸入を禁じている国はアジア(中国/タイ/インドネシアなど)や中南米(チリ/メキシコ/ブラジルなど)を中心に多い。
統計上は台数が多い南アフリカ等も商業目的の中古車は実質輸入禁止だが、同国を経由して第三国へ再輸出されている。
アメリカは25年経てばOK。欧州も左ハンドルであることや排ガステストなどをクリアすれば日本からの中古車輸入を認めている国はドイツを中心にいくつかある。
「日本ではバブル時代にお金持ちが購入しガレージの肥やしにしてきた車が多数存在します」(ユーティリタスの池谷祐一代表)
「都内の一等地に建てられた豪邸のガレージに鎮座していたメルセデス・ベンツSクラスなどは、車検のたびに数十万円の整備が行われ、年間走行距離は数千km、こんな極上中古車が存在するのは日本だけですよ」
池谷氏は過去にアメリカで正規販売されたメルセデスやBMW、ロールス・ロイスなどをアメリカに逆輸出し、アメリカ人のマニアに販売したこともあるそうだ。
「日本で低価格で仕入れた極上中古車を欧米諸国のマニアに販売しました」
「マニアといっても、欧米では古くからビンテージカーに対して固有の価値を有していますので、お金持ちがそれらを所有するというステータスは日本に比べごくごく一般的なことなのです」
ドイツの中古車販売サイト「Auto Scout24」で探してみると、日本からの輸入車を数多く見つけることができる。