【なぜ、しっくりこない?】EVのハマー/マスタング・マッハE/日産アリア 高級な電気自動車、社会の「別腹」?
公開 : 2020.09.13 05:50 更新 : 2021.06.04 11:13
相次ぐハイパフォーマンス系EV(電気自動車)の登場に対して、ある種の違和感があるかた、多いかもしれません。増加の背景を検討しつつ、たとえばホンダeを含む、シティコミューターの普及の可能性までを考えます。
アメリカ車のプレミアムEV対決勃発
本当にこれで良いのか?
ハイパワー、ハイトルク、超加速、それに伴う大型電池の採用。
相次ぐハイパフォーマンス系EV(電気自動車)の登場に対して、ある種の違和感を持っている人は、日本のみならず、世界各国に大勢いると思う。
例えば、ゼネラルモーターズ(GM)のGMC「ハマー」
米時間の今年(2020年)7月29日、同社のプレス向けサイトに動画を公開し、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で遅れていた発表時期が今秋であることを明らかにした。
ボディ形状として、旧ハマーの「H2」や「H3」を彷彿させるSUV形状と、SUVとピックアップトラックを融合したSUTの2種類があることが分かった。
最大出力は1000ps、0-97km/h加速が3秒台という動力性能を強調した。
フォードは「マスタング・マッハE」の予約販売を開始。最上グレードのAWD車は346ps、0-97km/h加速は5秒以下。
また、ワンオフモデルとして「マッハコブラジェット1400」を公開。7基のモーターを搭載し最大出力1400psとした。
プロモーション動画では、NASCARマシンや、ケン・ブロックのドリフトマシンなどと競演し、EVならではの加速や動きを存分に披露した。
なぜ、EVなのに、GMもフォードもこうしたハイパフォーマンス性能を主張しなければならないのか?
それぞれにベンチマークモデルが存在
GMCハマーも、マスタング・マッハEも、こうした商品性としたのは、EV市場でベンチマークが存在するからだ。
当然、筆頭はテスラだ。
テスラは大手自動車メーカーがまったく想定していなかった、高い動力性能を持つプレミアムEVという市場を開発した。
車体を含めて自社開発した「モデルS」を皮切りにモデルラインナップを拡充。ついに時価総額でトヨタを抜くまでに成長した。
テスラをベンチマークとしたのは、GMCハマーやフォードより、ポルシェの方が先だ。
フォルクスワーゲングループの中期経営計画として、2016年からEVシフトを推進する中、「ミッションE(量産車名称タイカン)」が生まれた。すでにタイカンは日本での販売も始まっている。
このポルシェが、急速充電で新たなるベンチマークとなった。
充電の出力を350kWに設定して商品企画がスタートした。これまで、直流による急速充電では、日本が主導するCHAdeMOが30-50kWで使用されてきた。テスラは自社規格で120kW(CHAdeMO協議会調べ)である。
対するポルシェは大出力化で、充電時間を一気に短縮する戦略に出た。
それに伴い、充電ケーブルの耐久性と安全性を考慮し、電流を下げる目的で電圧を800V化するという考え方もポルシェがベンチマークとなった。