【ポルシェが重要な鍵?】VWグループ、ブガッティの売却を検討 リマックへ
公開 : 2020.09.21 16:50
フォルクスワーゲン・グループは、2020年末までにブガッティをリマックへ売却しようとしています。リマックの株主であるポルシェは、ブガッティの支配権の一部を保持するため出資比率の引き上げを検討しています。
3社間の複雑な買収交渉
フォルクスワーゲン・グループは、量産車事業の統合の一環として、ブガッティをEVメーカーであるリマックに売却することを検討している。
ポルシェはこの取引で重要な役割を果たすことになりそうだ。
ドイツのManager Magazin誌によると、公式には確認されていないものの、先日行われたフォルクスワーゲン・グループの監査役会議では、この売却案が主な議題となっていたという。
会長のヘルベルト・ディースは2020年末までに契約を完了させたいと考えているようだ。
クロアチアに拠点を置くリマックがブガッティの買収資金を調達できるようにするため、フォルクスワーゲン・グループ傘下のポルシェは、現在15.5%保有しているリマックの株式を49%まで引き上げると予想されている。
ある関係者によると、ポルシェのリマックに対する出資比率を高めることで、同グループが今後の意思決定プロセスに積極的に関与できるようになる予定だという。
リマックとの交渉は継続中で、この複雑な買収について最終的な決定はまだ下されていない。
AUTOCARはブガッティ、ポルシェ、リマックの3社に対しコメントを求めたが拒否された。
高級車ブランドに再編の兆し
フォルクスワーゲンが提案しているとされる売却の条件では、ブガッティはリマックが開発した1914psのハイパーカー「C_Two」の駆動系とバッテリーのノウハウを用いて、内燃エンジンから電動スーパーカーに注力するという。
リマックのブガッティ買収と、ポルシェの株式保有増加については、中国のバッテリーメーカーであるキャメル・グループや香港に拠点を置くチャイナ・ダイナミクスなど、既存の利害関係者の合意に左右されるだろうとの情報がある。
1909年に設立されたブガッティは2019年に82台を販売しており、主要モデルとして1500psを発生させる8.0L W16クアッドターボエンジンを搭載したシロンなどが挙げられる。
シロンをベースにした最新モデルである1600psのチェントディエチは、10台限定で生産される予定で、価格は800万ユーロ(約10億円)となっている。
リマックは、クロアチアの首都ザグレブ近郊のスベタネデリャに本社を置き、2009年にメイト・リマックによって設立された。
AUTOCARは、ブガッティの売却は当初、フォルクスワーゲン・グループのフェルディナンド・ピエヒ元会長の息子であるグレゴール・ピエヒに対し提案されていたと考えている。しかし、この売却は実現しなかった。
ヘルベルト・ディースのもと、フォルクスワーゲンは現在、電動モビリティに焦点を当てた大規模な再編を進めており、量販車にも新たな重点を置いている。
ベントレー、ブガッティ、ランボルギーニなどの高級車ブランドや、オートバイメーカーのドゥカティ、デザインスタジオのイタルデザインなどの将来は、こうした動きに委ねられているようだ。
アウディ、セアト、シュコダ、フォルクスワーゲンなどの量販ブランドの電動化計画や、リマックとの提携によるポルシェのEV事業拡大用に資金を確保するためのコスト削減を模索しており、上記の高級ブランドには注目が寄せられているという。