【巨大なシャークフィンの正体は?】トゥーリング・スーパーレッジェーラ・エアロ3 フェラーリをカスタム
公開 : 2020.09.25 11:20
イタリアのトゥーリング・スーパーレッジェーラ社が、フェラーリF12をベースにした「エアロ3」を発表しました。1930年代のレースカーをモチーフにした劇的なデザイン変更と、150kgもの軽量化が行われています。
重量は敵、空気抵抗は障害
イタリアのコーチビルダー、トゥーリング・スーパーレッジェーラは、フェラーリF12ベルリネッタをカスタムしたエアロ3を発表した。
同社は、過激なスタイルのアルファ・ロメオ・ディスコ・ヴォランテやミニ・スーパーレッジェーラ・ビジョンで知られるミラノの会社だ。新製品のエアロ3については「自動車の空気力学を発展させてきた歴史的な役割に立ち返るデザインコンセプトの最新作」とし、「重量は敵、空気抵抗は障害」という会社のモットーが開発を支えてきたと述べている。
カーボンファイバーボディのエアロ3は、F12の大まかなシルエットはそのままに、20世紀半ばのイタリアのコーチビルダーや1930年代のレースカーからインスピレーションを得て、完全にリモデルされている。
トゥーリングによると、製造される15台はそれぞれ、完成までに5000時間以上を要するという。
フロントエンドは一新され、台形のセンターグリルと2つのエアインテークが特徴的。ボンネットは、F12のトレードマークであるセンターエアスクープを廃止し、よりアグレッシブな吸気口デザインに変更された。
サイドも大幅に変更され、フロントホイールアーチからボディに沿って空気を流す大型ダクトが組み込まれている。
最も顕著なのは、リアエンドの中央を流れる大きな「シャークフィン」で、カロッツェリア・ツーリングの「黄金時代」における先駆的な風洞開発へのオマージュとなっている。
デザイン責任者のルイ・ドゥ・ファブリベッカーズは、このフィンを「涙滴形状の車室の自然な延長線上にある」とし、空力的な効果はないものの、「1930年代以降の空力学的レガシーを想起させる」と語っている。
何もかもが特別仕様の1台
アルミニウム製のスペースフレームシャシー、740psの6.3L V12エンジン、電気系統などF12の基本コンポーネントはそのまま引き継がれている。ただ、ボディパネルをアルミニウムからカーボンファイバー製に変更したことで、全長が200mm近く伸びたにもかかわらず、車体重量が150kg近くも削られている。
F12と同様に、エアロ3は停止状態から3.1秒で100km/hまで駆け上がり、最高速度は340km/hに達するとされている。
完成した最初の車両は、2013年のディスコ・ヴォランテに採用された「ストラトスフィア・レッド」と同じ色合いで仕上げられている。
インテリアにはアルミニウムおよびカーボンファイバーのディテールと、フォグリッツォレザーが施されている。
デビューモデルには、1938年のル・マンに参戦したツーリングカー「アルファ・ロメオ8C 2900 B LMクーペ・ベルリネッタ・エアロディナミカ」にちなんで、レースナンバー19が付けられている。
トゥーリングは価格を公表していないが、「各車は購入者の好みに合わせて仕立てや加飾をオーダーできる」ため、変動があるという。
購入者は標準的なフェラーリF12の納車から半年後にエアロ3を受け取ることになるが、すでに3台が販売されている。