【変わらない最高】ホンダ・シビック・タイプRへ試乗 小変更 2バージョン追加 前編
公開 : 2020.10.01 10:20 更新 : 2020.12.14 16:00
ホンダ・シビック・タイプRがマイナーチェンジ。ブレーキやサスペンションを改良しつつ、2つの派生バージョンも登場。エンジンに変更はないものの、最高のホットハッチであることも変わりないと、英国編集部は評価します。
速さと安定性、実用性を兼ね備えたタイプR
ホンダ・シビック・タイプRの2020年仕様が、英国へ上陸する。最高のホンダ製ホットハッチへ、わずかな手直しが加えられた。そもそも、2017年にデビューした現行のFK8型に、指摘するほどの不満は感じられなかった。
ターボチャージャーで過給されるタイプRとしては2代目。圧倒的な直線スピードと、アクロバティックとさえいえるほどの敏捷性、塊のような姿勢制御と絶妙な快適性という、素晴らしいブレンドに仕立てられている。
ホットハッチの中で、最も完成度の高い1台だ。速さと安定性、実用性という、すべてを兼ね備えている。もちろん、マイナーチェンジ後のタイプRも、その優れたフォーミュラに準じている。
注目となるのが、ラインナップの拡張。標準のタイプRのほかに、やや控えめなスポーツラインと、より攻めた限定のリミテッド・エディションという、2バージョンが追加となっている。
3バージョンで共通して、2020年版のタイプRでは、13%開口面積が大きくなったフロントグリルを獲得。冷却性能を高め、サーキット走行時には従来よりエンジン温度を10℃も低く保てるという。
フロントグリル付近では、空力特性も改善。大きな口を開いたことによるバランスの変化を、オフセットできるように調整されている。しかし、全体的な見た目の違いは小さい。よく観察しなければ、気付かないかもしれない。
スポーツラインとリミテッド・エディション
インテリアの変更は限定的。運転操作で重要な部分には、ちゃんと目が配られている。ステアリングホイールはアルカンターラ巻きになり、シフトノブは新しい卵型のアルミニウム製となった。変速時の動作や重み付けも、慎重に調整が施されている。
見た目以外での改良は、主に足回り。フロントのブレーキディスクは2ピースのものとなり、ペダル操作による反応性を高め、冷却性能を改善している。
サスペンションのブッシュ類は強化され、フロントでは縦方向に10%、リアでは横方向に8%剛性が高められた。アダプティブ・ダンパーの制御も見直され、サンプリングレートを高速化。コンフォート、スポーツ、R+の3段階のドライビング・モードでの応答性を高めている。
追加となった2バージョンにも触れておこう。スポーツラインは、英国では2021年の初めに発売が始まる。大きなリアスポイラーが降ろされ、比較的控えめな容姿に仕上がっている。
アルミホイールは19インチで、シートはノーマルの鮮烈な赤ではなく、落ち着いたブラックで仕立てられる。それでもルックスは、間違いなくタイプR。大人しいリアウイングが、やんちゃぶりを抑えている。
リミテッド・エディションは、シビック・タイプRの中でも最も過激な仕様。欧州へ導入されるのはわずか100台の限定で、ブラックのルーフとドアミラー、ボンネット・ベンドが与えられる。