【PHEV版もマイナーチェンジ】ミニ・クロスオーバー・クーパーS E オール4へ試乗

公開 : 2020.10.07 10:20  更新 : 2021.07.27 14:51

コンパクト・クロスオーバーのプラグイン・ハイブリッドとして、高い人気が見込まれるのが、ミニ・クロスオーバーのE。フェイスリフトを受け、さらに訴求力を高めています。英国編集部がドイツの一般道で評価しました。

フェイスリフトでPHEV版も改良

text:John Howell(ジョン・ハウエル)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
現行のミニ・カントリーマン(クロスオーバー)は、2010年に登場。ミニとは呼べない、立派な体格を持っている。

ドイツ・フランクフルトの駐車場に停めていると、確かにミニだけれど戦車みたい、という正直なコメントが聞こえてきた。ミニというブランドは、どこまで拡大解釈していいのだろうか。

ミニ・カントリーマン(クロスオーバー)・クーパーS E オール4(欧州仕様)
ミニ・カントリーマン(クロスオーバー)・クーパーS E オール4(欧州仕様)

そのつぶやきを生んだ理由は、フェイスリフトを受けたクロスオーバーの、アグレッシブな見た目も理由だろう。バンパーやフロントグリルは、デザインが新しくなった。クロームメッキではなくグロスブラックで仕上げられた表情は、なかなかワイルドだ。

新しいミニ・クロスオーバーには、LEDヘッドライトとモニター式のデジタルメーター、新しいインフォテインメント・システムが備わる。システムにはタッチセンサー式のボタンが与えられ、大きなリング内はクリーンなデザインが与えられてる。

その変更は、ガソリンでもディーゼルでも、このプラグイン・ハイブリッド(PHEV)でも同様。ミニ・クロスオーバーでは、2017年に8%だったPHEVの割合が、2020年では25%まで支持を広げている。マイナーチェンジ後の初試乗で選ばれたのも、PHEVだ。

見た目だけでなく、PHEVシステムも改良を受けている。最高出力はやや落ち、システム総合で220psとなったが、CO2の排出量も落とされ、EVモードでの走行可能距離は48kmに伸ばされた。

引き締まった姿勢制御 少し曖昧な操舵感

最初のコーナーでステアリングを切ると、ミニらしく、活発に向きを変えることに気づく。ふと、「コンパクトななクロスオーバーにしては、クイックなステアリング」だとつぶやいた。

しかし、通常のミニとは違う。キビキビと運転するには、少し心もとない。

ミニ・カントリーマン(クロスオーバー)・クーパーS E オール4(欧州仕様)
ミニ・カントリーマン(クロスオーバー)・クーパーS E オール4(欧州仕様)

ステアリングは機敏に反応するが、切り込んでいっても、重さが増すことはない。フロントタイヤがどんな状態にあるのか、手のひらに伝わる感触も少ない。コーナーリング中は、いつも小さな修正操作が必要になる。

フォード・プーマなら、ステアリングホイールは一度向きを変えれば充分。長所といえる操舵感を得ている。

一方で、ミニ・クロスオーバーは姿勢制御がタイトで、グリップ力も充分。コーナーが連続する区間でも、高めのスピードを保って運転できる。

バランスも悪くない。熱くなりすぎてコーナーでフロントタイヤが外に流れても、アクセルを戻せば内側にラインは戻ってくれる。

引き締まった姿勢制御と引き換えに、乗り心地は良いとはいえない。橋桁の継ぎ目や、部分的に舗装の剥がれたような区間では、大きな衝撃が伝わってくる。滑らかな高速道路以外では、どこか落ち着かない揺れがある。

フォルクスワーゲンTロックの方が、乗り心地ははるかに穏やかだ。もし比較するなら。

EVモードでの走行は、速いとまではいえないものの、市街地を走る程度なら充分。112km/hまで、スピードを出すこともできる。

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