【ホンダ2021年でF1参戦終了】じつは影響すくない? これまではホンダ=F1の精神 徐々に変化
公開 : 2020.10.05 11:50 更新 : 2021.07.12 18:33
ホンダが2021年でF1参戦を終了することを明らかにしました。八郷社長は再参戦なしと言い切りました。F1のイメージが極めて強いホンダにとって、F1参戦終了は社内的に、また量産モデルにどう影響するのでしょうか?
ホンダ、フォーミュラ1をやめる理由
ホンダが2021年シーズンをもって、世界最高峰自動車レース・フォーミュラ1(F1)の世界から去る。
「参戦終了」としており、休止、中止、撤退ではない。
2020年10月2日午後5時からオンライン会議システムを使って日本人報道陣向けにホンダが行った記者会見で、ホンダの八郷隆弘社長は「再参戦はない」という説明をした。
参戦終了とは文字通り、終了であり、ホンダとして今後、F1の世界に戻る可能性は極めて低い。
F1参戦終了の理由として、最近業界内ですっかり聞き慣れた感がある「100年に一度の自動車産業大変革」を引き合いに出した。
その中でもパワートレインの電動化や、エネルギーマネージメント技術に対する研究開発に、ホンダが持つリソースを集中させたいからだという。
会見の中で、八郷社長は記者の質問に対して何度も「2050年におけるカーボンニュートラル」と「2050年までの過程で、2030年までにホンダ車全体の2/3を電動車にする」という表現を繰り返した。
ただし、会見中に図表やグラフを用いた説明は1つもなかった。
2030年まで、2050年まで、それぞれで何をどう進めるのかについて、F1で培ってきた技術を具体的にどう使うのかについて、詳しい説明はなし。
あくまでも「F1をやめること」が話題の中心であり、「F1をやめた後のホンダ」の先読みができないと感じた。
ホンダ、フォーミュラ1をやる理由
では、見方を変えよう。
ホンダがF1をやる(F1をやってきた)理由とはなにか?
近年、筆者はホンダの社内組織改編や新技術に関して、本社(本田技研工業)と研究所(本田技術研究所)の関係者への取材と意見交換をする機会が多い。
そうした中で、改めてホンダの原点や、ホンダという企業の有り様について深く考えてきた。
「技術はひとのために」。創業者・本田宗一郎氏の言葉だ。これが、ホンダの原点であることは広く知られている。
その技術の中心にあるのが、エンジンだ。
「ホンダはエンジンの会社だ」と表現する、ホンダ幹部が多い。四輪、二輪、そして汎用などのパワープロダクツを含めると、ホンダは世界最大級のエンジン供給企業なのだ。
このエンジン供給者という立ち位置が、F1との相性が良い。
ホンダF1史の中では、シャシー開発を行った時期もあるが、レース実績でみればエンジン供給に注力した期間での成績が良いのは明白だ。
こうしたF1におけるエンジン開発こそ、「走る実験室」という言い回しの本筋だと感じる。
F1には「走る広告塔」と表現される側面もあるが、ホンダは「走る実験室」を極めることが、結果的に企業イメージアップにつながってきたといえる。