【被害者続出】高級「カーシェア投資」が事業停止 そもそもカーシェア投資とは? 何が問題だったのか

公開 : 2020.10.10 05:50  更新 : 2020.10.16 18:54

東海地方に住むAさんは、今年3月に高級車専門カーシェア会社「S」と「自動車委託契約」を結びました。その会社が事業停止。「カーシェア投資」とは何かをまとめ、被害者とS社の間での問題を探ります。

「カーシェア投資」とは何なのか?

東海地方に住むAさんは、今年3月に高級車専門カーシェア会社「S」と「自動車委託契約」を結んだ。

契約内容は以下(謝礼の額や契約条件は車種や契約時期によって異なる)。

S社とAさんとカーシェア利用者の関係図。
S社とAさんとカーシェア利用者の関係図。    AUTOCAR JAPAN編集部

1、Aさん名義でローンを組み、メルセデス・ベンツ(約500万円)とレクサス(同)を、S社から中古で購入。

2、契約成立時に、それぞれ購入価格の10%=50万円ずつ謝礼としてS社から受け取る。

3、毎月のローン支払い時(口座引き落とし)の数日前に、S社から毎月の車両代(2台で約15万円)、任意保険料に加え、2万円前後の謝礼が支払われる。

4、契約から7年でローン完済。その後はカーシェア会社が1台につき100万円で買い取る。

クルマの名義は所有者:ローン会社、使用者:Aさんになっている。

そして実際に、Aさんは上記2番=謝礼50万円×2台分=100万円が契約から約2か月後に入金された。

4月以降、上記3番=毎月の入金(謝礼2万円含む)もおこなわれてきた。

なお、実際にはAさん名義でクルマを購入したことになっているわけだが、Aさんは自分名義のクルマを見たこともなければ乗ったこともない。

車検証や自賠責のコピーも送られてきていないという。

唯一、手元にある書類は自動車保険(任意保険)の証券である。3年契約で、そこには当然だがクルマのナンバーも車台番号も記載されている。

昨日、保険会社に確認したところ、この保険自体は契約が続いているとのことだった。

諸事情でお金が必要だったAさんにとって、S社への「カーシェア投資」は、ありがたいシステムだった。

Aさん名義のクルマでカーシェア運営

S社はレクサスやメルセデス・ベンツ、BMWなどの高級車を専門とする個人間カーシェアリングを運営している。

AさんがS社からローンで購入した(ことになっている)メルセデス・ベンツやレクサスも、シェア車として運用されてきた。(実績は不明)

S社のサイトには、自社のカーシェアリングサービスについて以下のように記されている。

「一般のオーナーと個人間で自家用車を共同使用できるサービスです」

「共同使用とは、個人間において自家用車の使用/管理に関する実質的な権限と責任を分担し、車両を共同で使用するものです」

「レンタカーのように貸主と借主の関係で車両の貸渡をおこなうものではありません」

同社はレンタカーや法人カーシェアであることを示す「わナンバー」にならない高級車を、レンタカーよりも安価な価格で「共同使用」できることをウリにしている。

つまり、レンタカーは道路運送法第80条の「自家用自動車有償貸渡業」として国交省の認可を受けて営業されるが、個人間カーシェアリングは「共同使用」という名目のもとに、レンタカーより簡単に個人間でクルマを使用することができる。

車検や法定整備など諸々の関係法規も全く異なっており、レンタカーよりもはるかに簡単な方法で、運営ができる。

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