【EVは特効薬ではない】ホンダ、英国政府に提言 「ハイブリッドに援助を」
公開 : 2020.10.16 07:50
ホンダの欧州部門のトップが、英国政府に対してハイブリッド車に対する支援を要請しました。環境問題に対し、EVだけでは限界があると主張。一方的な注力を減らし、消費者の選択肢を増やすよう求めています。
もっと選択肢を増やすべき
ホンダは英国政府に対し、EVだけにフォーカスするのをやめ、最新のハイブリッドモデルが果たす「重要な役割」を認識するよう呼びかけている。
ホンダの欧州部門のトップ、イアン・ハウエルズは、英国が2050年までにカーボンニュートラル化を進めるためには「マルチ・パスウェイ・アプローチ(複数のアプローチ)」が必要であると述べた。
ハウエルズは、「パーソナルモビリティを誰もが手頃な価格で利用できるようにしながら、幅広い技術を用いてCO2削減を迅速かつ効果的に実現する」アプローチを求め、これは「個人の選択という基本的な原則に不可欠なものである」と述べている。
また、世界的にカーボンニュートラルを達成しようとするホンダの意図は、バッテリーEV、ハイブリッド、そして水素と脱炭素化した液体燃料などを含め、あらゆる市場で幅広い選択肢が得られるようにすることだとしている。
ピュアEVは、消費者に大きな利益をもたらすこのアプローチにおいて「重要な役割」を果たすことを認める一方で、「銀の弾丸(特効薬)ではない」と主張している。
「手頃な価格、インフラ、技術の限界などの課題があるため、2035年までに内燃機関の代替としてEVだけに頼ることはできません」
「高価なEVだけに頼るアプローチは、運転を富裕層だけに与えられた特権に変えてしまう危険性がある一方で、最もEVを必要としている人たちを個人の移動手段から外してしまうことになります」
バッテリー技術も「限界」
ハウエルズは、英国の先進推進センター(APC)に触れ、EVとガソリン車のコストパリティは2035年までには達成されないと予測している。
充電インフラが「全国的に不均等に広がっている」ために、ミッドランドや北部などのサービスの行き届いていない地域で不公平が生じていることや、路上駐車場が限られていることなどにも言及した。
また、バッテリーの原料となるコバルトの供給には限界があることを理由に、「バッテリーEVに完全にシフトするための原料が十分ではない」と主張。さらに、リチウムイオン・バッテリーの技術は「パワーと性能の限界に達している」とも述べている。
ホンダは最近、初の量産EV「e」を発売したが、航続距離は約200kmと限定的だ。一方で、ハイブリッド車の「ジャズ(フィット)」は、非ハイブリッドの先代モデルよりもCO2排出量を30%削減している。
ハウエルズは、ハイブリッド技術がさらに進化していく中で、「大幅なCO2排出量削減の余地が残っている」と主張している。
また、再生可能エネルギー源から生産される脱炭素化された液体燃料の開発についても、将来的にハイブリッドによるCO2排出量を大幅に削減できる可能性があるとしている。