【ガソリン車廃止】なぜ中国も2035年? 世界的な電動化、日本にどう影響 ハイブリット大国の悩み
公開 : 2020.10.29 11:20
アメリカに次いで、今後は中国も2035年までにガソリン車販売禁止を打ち出しました。世界的なEVシフトが米中主導でさらに速まるのでしょうか? そうした中で、日本でもEVシフトが進むのか、市場の実態を考えてみます。
NEV法さらに強化へ
中国が電動化戦略でさらに世界を引き離すのか?
世界最大の自動車製造・販売国、中国の動きで、日本でも日産「アリア」、ホンダ「e」に次いで、トヨタ、スバル、マツダ、スズキから続々とEVが登場するのだろうか?
テスラが日本でも売上げをさらに伸ばすのか?
充電器など、社会インフラが十分追い付くのだろうか?
こうした話が巷に広がったのは、2020年10月27日だ。
まず、欧米のメディアが、中国政府に強い影響力を持つ自動車系学会が「2035年にガソリン車廃止案を提案した」というニュースを配信した。
その少し後、日本の大手メディアは、日本の経済産業省に相当する中国工業情報化省が正式発表として、同じ内容を伝えた。
さらに、中国政府が示した電動化戦略の工程表についても説明した。工程表によると、2035年には中国の全体需要のうち、50%をNEVにするという。
NEVとは中国固有の呼び方で、新エネルギー車のことだ。具体的にはプラグインハイブリッド車、EV、燃料電池車を指す。
中国では2019年からNEVによる規制と、企業間平均燃費(CAFE)による、いわゆるダブルクレジット状態に入っており、日本の自動車メーカーはCO2規制強化の欧州に加えて、中国対応に躍起になってきた。
そこへきて、2035年規制が発表されたのだ。
カリフォルニア州に連動した?
「2035年までに」といえば……。
今回の中国発表の約1か月前となる、現地時間2020年9月23日に、アメリカ・カリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事が「2035年までにインターナル・コンバッション・エンジンの新車販売を禁止する」と発言している。
インターナル・コンバッション・エンジン(ICE)とは、内燃機関を意味し、ガソリンエンジンおよびディーゼルエンジンと同じとして扱われている。
ハイブリッド車やプラグインハイブリッド車は、内燃機関にモーターを融合させた動力システムである。
機械工学的な見地からはICEを含むが、近年の自動車産業界ではICEとして分類しないのが一般的だ。
そのため、カリフォルニア州の発表では、「ガソリン車禁止」と表現された。アメリカではディーゼル乗用車の割合が極めて低い。
こうしたカリフォルニア州の発表と、中国政府の発表は同じように思える。
ただし、カリフォルニア州の場合、2035年時点で全体需要におけるプラグインハイブリッド車、EV、燃料電池車などの割合を明確に示していない。
その点では、中国政府の「2035年までにガソリン車禁止」の方が、厳しい達成目標であると言える。
こうした米中の発表を受けて、日本はこれからどうなっていくのだろうか?