【3気筒ガソリンPHEV登場】ランドローバー・ディスカバリー・スポーツP300eへ試乗
公開 : 2020.11.14 10:20 更新 : 2021.07.27 14:51
プラグイン・ハイブリッドを獲得したディスカバリー・スポーツが登場。3気筒ガソリンにISG、リア駆動用の電気モーターを採用しています。燃費性能だけでなく、ドライバーズカーとしての訴求力も高いと、英国編集部は評価します。
もくじ
ー1.5L 3気筒ガソリンターボにリア用モーター
ー軽量なエンジンとATで車重増を相殺
ー乗り心地や操縦性は高水準
ーランドローバー・ディスカバリー・スポーツP300e Rダイナミック AWD(英国仕様)のスペック
1.5L 3気筒ガソリンターボにリア用モーター
新型コロナウイスルの流行で、ロックダウンされていた英国。そんな中、ランドローバーはレンジローバー・イヴォークと、ディスカバリー・スポーツへ、プラグイン・ハイブリッド(PHEV)版の追加を発表した。
ランドローバーのマーケティング部門責任者によれば、英国ではすでにPHEV版のイヴォークやディスカバリー・スポーツの注文を、2000台以上受けているという。年末までには、ユーザーへの納車が始まる予定にある。
今回試乗したディスカバリー・スポーツも、PHEV版の1台、P300e Rダイナミック AWD。見た目は従来のディスカバリー・スポーツと変わらないが、中身は大きく異なっている。
搭載するエンジンは、ジャガー・ランドローバー(JLR)社製の1.5L 3気筒ガソリンターボ。4気筒や6気筒版と親戚関係にあるモジュラー設計のインジニウム・ユニットで、イヴォークPHEVと共有する。
108psの駆動用モーターをリアタイヤ側に搭載するほか、電動化技術として電圧48Vのスターター・ジェネレーター(ISG)をエンジンに結合。減速時や惰性走行時に電気エネルギーを回収し、バッテリーに蓄える。
リアモーターは、135km/hまでの速度をカバー。フル充電なら、最大69kmの距離を電気だけで走れるという。高い速度では、そんなに長い距離は走れないけれど。
システム総合での最高出力は309ps、最大トルクは54.9kg-mある。これだけあれば充分活発で、0-100km/h加速は6.6秒でこなす。最高速度は209km/hに設定される。
軽量なエンジンとATで車重増を相殺
バッテリーの容量は15kWhあり、搭載位置はリアシートの下。標準のディスカバリー・スポーツと比較して、荷室やリアシートの広さに影響はない。
リアに搭載されたモーターが、リアタイヤを駆動。効率を高めるとともに、四輪駆動として効果的にトラクションを得る。フロントの3気筒エンジンは、リアタイヤと機械的につながっていない。
多くのPHEV版がそうだが、カタログに載る燃費の数字は驚くほど良い。WLTP値で62.1km/Lも走れ、CO2の排出量は32g/kmに留まっている。英国では、社用車としての税率でも極めて有利。JLRの自信や期待も高く、実際に販売が好調なこともうなずける。
PHEVのディスカバリー・スポーツは、ドライバーズカーとしても優秀。今回の短い試乗で、それを示してくれた。
エンジンは滑らかで、存在感は控えめ。一生懸命に仕事を始めると、3気筒らしいビートが心地よく聞こえてくる。
信号待ちで、エンジンは自動的に停止。発進時はISGがスムーズに再始動してくれる。加速時の駆動力は、ほとんどをリアモーターが担当しているそうだが、まったく感じ取れないほど自然。スタートダッシュは素早く、エンジンとモーターは見事に統合されている。
トランスミッションは、アイシン社製の8速ATで、変速はシームレス。非常に洗練されている。アイシン社製のATは、従来までのZF社製9速ATより軽量なのだという。
ランドローバーの技術者によると、4気筒より3気筒エンジンは37kgも軽い。8速ATも軽量なため、15kWhのバッテリー搭載による車重増を、ほぼ相殺できているそうだ。