【V8ターボ・サルーンに乗るなら今】BMW M5コンペティションに試乗 F90型小変更 前編
公開 : 2020.11.26 10:20
スーパーサルーン、BMW M5がフェイスリフト。スピードと安定性を高め、ドライバーズカーとしての訴求力を増しています。幅広い能力と秀でた動的性能は、並べるライバルがないとするほど、英国編集部は高く評価しています。
フェイスリフトで価格は上昇
現行のBMW M5は6代目。2018年の登場から3年が経つ。
英国では当初、標準のM5も導入されていた。599psと聞けば誰もが納得するパワーだ。しかし現代のラグジュアリーカーは、一番イイヤツを持ってきた方がユーザー受けもイイ。2018年末に、M5と入れ替えで英国に来たのが、624psのM5コンペティションだ。
そんなF90型のM5も、モデル中期のフェイスリフトを受けた。ボディやインテリアのデザインのほか、駆動系統にも見直しが入っている。内容を確認していこう。
価格は相変わらず高いが、英国では6桁ポンドを超えてしまった。フェイスリフト前のM5コンペティションより標準装備が充実したから、その価値はあるとBMWは話すはず。確かにそうかもしれないが、高いことに変わりはない。
ライバルにも10万ポンド(1350万円)を超える、エグゼクティブサルーンは存在する。大金を投じたくなるほどの魅力で、オーナーを惹きつけてきたことも事実だ。
ジャーマン・スーパーサルーンは、従来まではシンプルだった。ポルシェ911より速く、パワフル。しかもドアが2枚多く、大人も2人は多く乗れる。普段使いできる、われわれにも手が届くクルマだった。
一方で近年は、BMW Mだけでなくアウディ・スポーツもメルセデスAMGも、一層高性能な4ドアサルーンやステーションワゴンに力を入れている。オーナーのガレージには、別にスーパーカーやサーキットマシン、クラシックカーが収まっていることが多い。
実用的でありながら速く、ドライビングファンなクルマがほしいと考える一般的なドライバーのことは、メーカーの眼中にはあまりないのかもしれない。
フロントグリルやヘッドライトが識別点
話を戻そう。マイナーチェンジ後のM5コンペティションを見極める違いは、前後バンパーやヘッドライト、テールライト、キドニーグリルなど。4本出しのマフラーはややスリムになっている。
特にひと目で分かるのが、ブルーのアイラインが入るレーザーライトと呼ばれる、オプションのヘッドライトだ。現行の第7世代の5シリーズは、当初からハンサム。わずかなお化粧直しで、効果的に闘争心を高めているように見える。
インテリアは上質な素材が用いられ、控えめに高性能であることを主張する。とても良いブレンド割合だと思う。ダッシュボードには、最新のOS7.0で稼働する大きなインフォテインメント・システム用モニターが採用され、搭載技術のアップデートを図っている。
ヘッドアップ・ディスプレイの投影面積は広げられ、標準装備になった。モニター式のデジタルメーターと、良いコンビを組んでいる。デジタルメーターは、一部の表示モードでは、もう少しシンプルな方が見やすいと思う。
クルマの運転や機能の操作に関わるレイアウトも、運転姿勢も、従来どおり良好。細かな部分では、レイアウトの見直しも図られている。
パワートレインやサスペンションなどの設定を変えるボタンは、ステアリングホイールからシフトノブ横へ移動。セットアップとMモードと記されたボタンも追加されている。