【電気だけで103km走る】メルセデス・ベンツSクラス S 580eへ試乗 総合510psのPHEV
公開 : 2020.12.03 10:25 更新 : 2021.07.27 14:51
最新Sクラスの、プラグイン・ハイブリッド版へ試乗。EVとしての航続距離は100km以上を誇り、日常的な利用ではエンジンの出番はほぼないほど。パワフルさとスムーズさに、英国編集部は深い感銘を受けたようです。
Sクラス史上最強のPHEV
最新のメルセデス・ベンツが登場した。今回試乗するガソリンエンジンのプラグイン・ハイブリッド(PHEV)、S 580eの最高出力はシステム総合で510ps。Sクラス史上、最強のPHEVとなっている。
驚くのはハイパワーぶりだけではない。EVとしての航続距離は、WLTP値で103kmを誇る。理想上では、充電なしで50km先の目的地まで、電気モーターだけで往復できるというわけ。
S 580eが搭載するドライブトレインは、S 450やS 500にも搭載される直列6気筒の3.0Lガソリンターボエンジン。電気モーターは9速ATに内蔵されている。駆動方式は、機械的に前後タイヤがつながった四輪駆動だ。
ドライブモードには、バッテリーとエレクトリック、コンフォート、スポーツの4種類を用意。バッテリー・モードは、バッテリーの充電量を保つためにエンジンを稼働させ続けるモードとなる。
インディビジュアル・モードもある。ドライバーの好みに応じて、ステアリングやアクセル、ダンパーのレスポンスなどを調整し、登録できる。
そもそも上質なSクラスが、電気モーターだけで完全な沈黙のまま発進する。この状態で100kmも走れるとは、感心するしかない。この航続距離を支えるのが、28.6kWhの容量を誇るリチウムイオン・バッテリー。搭載位置は荷室のフロア下だ。
ちなみに、BMW 745Le xドライブのバッテリーだけでの航続距離は57km。アウディA8 60 TFSIeクワトロの場合は46kmに留まる。
0-100km/h加速6.5秒でも燃費は125.0km/L
電気モーターの最高出力は150psだから、加速は鋭いわけではない。しかしアクセルペダルを踏んだ瞬間から44.8kg-mのトルクが得られるため、充分に力強い。無音で速度を乗せ始め、そのまま最大140km/hまで、静寂のクルージングに浸っていられる。
さらに驚かされるのが、電気モーターとガソリンエンジンとが協働した時の動的性能の高さ。システム総合の最高出力は510ps、最大トルクは76.3kg-mもあるから、爽快なレスポンスと、安楽な柔軟性を兼ね備えている。
ハイブリッド・モードを選んだまま、160km/h超の速度域まで簡単に到達する。ドイツのアウトバーンなら。
メルセデス・ベンツが主張する燃費は、76.8km/Lから125.0km/L。CO2の排出量は18g/kmから30g/kmと、Sクラスのボディからは信じがたい数字が並ぶ。効果的に機能するコースティング機能と回生ブレーキが、優れた環境性能をバックアップしている。
S 580eは標準で3.7kWのAC充電器に対応するが、オプションで11kWのAC急速充電器と60kWのDC急速充電器にも対応。10%の状態から80%まで、最短30分で充電できるという。