【電動化は待ったなし!】クルマ電動化時代に知っておきたい電気系用語 「馬力」ではない?

公開 : 2021.01.04 08:25  更新 : 2021.10.09 23:41

かつて日産自動車がリーフのCMで、リーフと180SXと競争させたことが話題になりました。電気自動車は「馬力」ではない?知っておきたい電気系用語を特集します。

クルマの電動化は待ったなし! 

text:Kenichi Suzuki(鈴木ケンイチ)
editor:Taro Ueno(上野太朗)

地球の環境対策としてクルマに求められる燃費規制は、世界中でどんどんと厳しいものとなっている。

燃費性能を高めるほどに地球温暖化の原因と見なされる二酸化炭素の排出を減らせるからだ。そうした要求に応えるために必要となるのがクルマの電動化となる。電気の力を使ってクルマの燃費性能を高めようというわけだ。

日産リーフ
日産リーフ    日産

ここで重要なのは、「電動化」=「電気自動車」に限定されるわけではないこと。「電動化」された電動車は「xEV」と表記されるが、この電動車(xEV)は、「電気自動車(EV、BEVと表記される)」だけでなく、「ハイブリッドカー(HV、HEVなどと表記される)」、「プラグインハイブリッドカー(PHV、PHEV)」も含まれる。

具体的に挙げれば、日産のリーフを筆頭に、トヨタプリウスやミライ、そしてマイルドハイブリッドの「Sエネチャージ」を搭載するスズキの軽自動車も電動車(xEV)となる。

日本では、すでに純粋なガソリン・エンジンだけのクルマの新車販売は6割を切るほどに減っており、残りの4割近くが電動車(xEV)となっている。日本では、電動車(xEV)は、すでに身近な存在になっているのだ。

電動車の心臓 電池に求められる性能

電動車(xEV)の重要な部品となるのが二次電池だ。従来から使われていた12Vの鉛電池ではない。モーター駆動などを行うために、別途に追加された充電できる電池のことを指す。

この二次電池の性能が、電動車(xEV)の走行性能を大きく左右する。電気をたくさん溜めることのできる電池であれば、モーター駆動できる距離が長くなる。また、瞬間的に大きな電気を出し入れできる力も重要だ。さらに寸法や重量あたりの蓄えられる電気の大きさも電池の性能の目安となる。

トヨタ・プリウス
トヨタ・プリウス    トヨタ

そして、最も重要なのは値段だ。どんなに素晴らしい電池であっても、高額すぎては、実際の量産車には使いにくい。つまり、電動車(xEV)に使われる電池は、さまざまな性能要件が存在している。

しかし、そうした数ある電池の性能要件の中で、実際にカタログに表れるモノは少ない。現実的には、どれだけ電気を蓄えることができるかを表す「kWh(キロワットアワー)」を理解しておくことが重要となる。

「kWh(キロワットアワー)」が意味するもの

では、電池の性能を示す「kWh」とは何か。これは電力量を意味する。そして、「kWh」を構成するのは「k(キロ)」、「W(ワット)」、「h(アワー)」の3つ。この3つを理解する必要がある。

「k」は1000倍の単位という意味で、「Wh」の1000倍の単位が「kWh」となる。「m(メートル)」の1000倍が「1km(キロ)」になるのと同じだ。そして「W(ワット)」は、1秒あたりにできるエネルギー(仕事)を意味する。電力とも仕事率とも呼ぶものだ。

トヨタ・プリウスPHV
トヨタ・プリウスPHV    トヨタ

電気的には、「電力:W(ワット)」=「電圧:V(ボルト)」×「電流:A(アンペア)」となる。1000Wの電力は、100Vの電圧で10Aの電流を流すと生じる。

そのエネルギーである「W(ワット)」を1時間継続してできる大きさを示すのが電力量の「Wh(ワットアワー)」だ。1000Whであれば、1000Wのエネルギーを1時間継続できるだけの電気の大きさのこと。

そして1000Wh=1kWhとなる。たとえば62kWhのリーフの電池は、1000W(1kW)を62時間継続できるエネルギーを蓄えることができる。つまり、1000Wの電子レンジであれば、それを62時間連続で稼働させることができる。

ちなみに、鉛電池には「Ah(アンペアーアワー)」が使われる。これは、電流:A(アンペア)を何時間分蓄えることができるかという意味合いだ。

「Wh」と「Ah」の違いは、電圧:V(ボルト)の扱いにある。これは、一般的なクルマ用の鉛電池は12Vであることが前提になっている。逆に電動車(xEV)の電池は、電圧が決まっていない。そのため、電動車(xEV)には電圧も加味した「Wh」が使われ、鉛電池は電圧のない「Ah」が使われている。

記事に関わった人々

  • 鈴木ケンイチ

    Kenichi Suzuki

    1966年生まれ。中学時代は自転車、学生時代はオートバイにのめり込み、アルバイトはバイク便。一般誌/音楽誌でライターになった後も、やはり乗り物好きの本性は変わらず、気づけば自動車関連の仕事が中心に。30代はサーキット走行にのめり込み、ワンメイクレースにも参戦。愛車はマツダ・ロードスター。今の趣味はロードバイクと楽器演奏(ベース)。

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