【じつは最初からアウト!】「わ」ナンバーにならぬ高級車カーシェア投資 国交省に聞くと…「共同使用」の定義から大きく外れていた
公開 : 2020.11.30 05:45 更新 : 2022.03.25 18:51
徐々に明らかになる高級車カーシェア投資「スカイカーシェア」の実態。国土交通省に聞くと、そもそも個人間カーシェアの定義から外れていることが明らかに。
わナンバーにならない高級車アピール
投資者を募り、ローンを組んで購入させた高級中古車を預かってカーシェア事業を展開していたスカイカーシェアが事業停止を発表して間もなく2か月になる。
投資者には一切の金銭的負担はなく、契約時に車両金額の1割と毎月1万円程度、契約期間終了後には100万円の謝礼が支払われる契約であった。(謝礼の金額は個々の契約によって異なる)
8月以降、運営会社からの入金はなく、多くの投資者が数百万円の支払いを背負う状況となっている。
高級車専門のカーシェアリングマッチングサービス「SKY CAR SHARE(スカイカーシェア)」は10月8日事業停止を投資者に発表した。
10月25日には代理人の弁護士が決定。
11月14日一部投資者への説明会が開催され、運営会社である(株)SERIAS、(株)ランドコアサービス、(株)anchor、(株)コーディアルの4社は11月20日、東京地裁に破産を申請した。
その後、25日頃には破産管財人から債権者に対して車両返却などに関する質問と回答書が郵送されている。
スカイカーシェアは、「『わ』ナンバーにならない高級車」としてレンタカーよりも格安の値段で借りられるとアピールしていた。
自家用車を共同使用するという業態であるから可能なのだとしていた。
「一般のオーナーと個人間で自家用車を共同使用できるサービスです。共同使用とは、個人間において自家用車の使用/管理に関する実質的な権限と責任を分担し、車両を共同で使用するものです」
「レンタカーのように貸主と借主の関係で車両の貸渡を行うものではありません」(スカイカーシェア)
しかし、通常エニカなどの個人間カーシェアは、もともとクルマを所有するオーナーが、自分がそのクルマを使わないときに、他者(ドライバー)に使ってもらうというスタイルがベースになる。
1日(24時間)のシェア料金は、購入代金(月々のローン支払い額)、駐車場代金、12か月点検費用、車検費用などの維持費を考慮して運営側から料金の上限額が設定される。
維持費を大幅に超える利益を出すようなシェア料金は認められていない。
国交省「共同使用」とは言えない!?
一方、スカイはシェア車両となるクルマを投資者に購入させる形をとって、クルマを完全に預かってカーシェアとして運用する……というシステムだ。
確かに一般的な高級車レンタカーに比べると料金は安いが、エニカのように個々のオーナーが申告した維持費に基づいて算出された料金ではない。
スカイカーシェアの業態が「個人間カーシェア」として適用されるのかどうか? 「わ」ナンバーにならないことを積極的にアピールしていたが、それは正しいことなのだろうか?
レンタカー事業などを担当する国土交通省 自動車局旅客課に電話をして聞くことができた。
――スカイカーシェアの事業は「共同使用」と言えますか?
「購入したクルマを見たのは契約時のみ。ふだん、自由に購入したクルマを使えるわけではないので、これは、『共同使用』とは言えないでしょう」
「中にはクルマも見ずに契約した方もいると聞いています」
「自由に乗ることもできない、日常的な整備や点検、諸々の管理などもすべて運営会社に託した状態でシェア車両として貸し出す業態では、『共同使用』ではありません」
「オーナー自身が『使用』できていない状態では、共同使用とは言えません」
――罰則はあるのですか?
「あります」
「自家用自動車の有償貸渡の規制に違反すると刑事罰の対象となり、罰金100万円以下の法定刑となります(道路運送法98条17号)」