【標準サスで充分幸せ】ポールスター2へ試乗 乗りやすい柔らかさ 407psは変わらず

公開 : 2020.12.07 10:25

純EVの上級モデルに当たるポールスター2。オーリンズ製ダンパーが省かれた、パフォーマンス・パッケージの付かない2へ試乗しました。速さはそのままに、柔らかさが加わり、クルマの性格に合うと英国編集部は評価します。

特別なオーリンズ製ダンパー

text:Richard Lane(リチャード・レーン)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
今回試乗するのは、パフォーマンス・パッケージの付かない、素のポールスター2。まだ日本では馴染みがないかもしれないが、ポールスター2はすでに英国での販売が始まっている。AUTOCARでも何度か試乗済みだ。

パフォーマンス・パッケージを選ばないことで、スーパーカーのような20インチ鍛造ホイールや、金色のブレンボ製ブレーキキャリパー、巨大なドリルド・ブレーキディスクが省かれる。その影響で、スポーティなビジュアルも穏やかなものになってしまう。

ポールスター2(英国仕様)
ポールスター2(英国仕様)

開放的なパノラミック・サウンルーフは標準装備だが、ハイグロスのルーフパネルも、金色のシートベルトも付かない。サンルーフがあるおかげで、車内は実際以上に広く感じられる。

そして一番大きな違いが、デュアルフロー・バルブを備えるオーリンズ製ダンパーも省かれること。手動調整式で、硬めのアンチロールバーと良いペアを組んでいた。

ご存知の読者も多いと思うが、オーリンズ社はスウェーデンのサスペンション・ブランド。ランボルギーニなど、スーパーカーの純正サスとして採用される実力を持つ。ちなみにスズキジムニー・シエラ向けにもキットが登場するようだ。

パフォーマンス・パッケージのダンパーは、知る人ぞ知る特別な逸品。筆者にとってはオーリンズ・ロスだ。

469kmの航続距離や407psの最高出力は不変

標準のサスペンションは、スプリングもやや長いため、車高は若干高くなる。ホイールも一般的な19インチになる。サイドウォールが厚くなるから、気を使う場面は減るだろう。乗り心地も良くなるはず。

これらの対価として、英国での値段は5000ポンド(67万円)安くなる。妥当といえるのだろうか。

ポールスター2(英国仕様)
ポールスター2(英国仕様)

ポールスター2として、優れた部分は基本的に変わらない。力強い加速も、スカンジナビアンなデザインのインテリアも、航続距離も。運転席に座れば、幸せな気持ちにさせてくれる。

搭載するバッテリーは78kWhで、航続距離は469km。ヴァレオ・シーメンス社製の電気モーターを前後に合計2基搭載し、総合での最高出力は407psに達する。

ドライバビリティはとても良い。アクセルペダルを踏んだ反応は、初めは穏やかだが、力を込めると凄まじく速い。少し気持ち悪く感じるほど。一時的に、BMW M4やポルシェ911 ターボSを凌ぐスタートダッシュを披露する。

標準のブレーキはペダルの感触がソフトで、強い制動力を得るには、少し力を入れる必要がある。これはパフォーマンス・パッケージの2と同様。

近年のブレーキは、どれもオーバーアシスト傾向が強いから、筆者は好きなタイプ。でも、慣れるには時間が必要かもしれない。

インテリアは、シートベルトが黒色なほかは、パフォーマンス・パッケージ版と同じ。トリムグレードに応じて、素敵な内装を選択できる。試乗車に用いられていたウッドパネルは、暖かみを感じさせてくれるものだった。

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