【新型ゴルフRを作った男】フォルクスワーゲン、R部門のトップ退任 新会長との意見相違か
公開 : 2020.12.07 18:25
フォルクスワーゲンのR部門を率いてきたジョスト・キャピトの退任が発表されました。新型ゴルフRなど数々のモデル開発に携わってきた人物ですが、同社はモータースポーツ活動から手を引く方針を表明しています。
VWはモータースポーツから撤退
フォルクスワーゲンの高性能モデル「R」の開発部門を率いてきたジョスト・キャピトが退任することが分かった。キャピトは3年間にわたって同部門の責任者を務めてきたが、退任の理由は「意見の相違」である可能性が高い。
フォルクスワーゲンは12月1日、モータースポーツ活動から撤退し、電動モデルの「ID」シリーズの開発に集中すると発表したばかりだ。同氏の退任はそれから48時間も経たないうちに発表された。
62歳、ドイツ人のキャピトは、その去就の理由についてまだ公式にコメントしていない。しかし、モータースポーツ活動が行われない中での「R」の将来について、フォルクスワーゲンの新会長であるラルフ・ブランドシュテッターとの意見の相違が背景にあると考えられている。
キャピトが過去5年の間にフォルクスワーゲンから離れるのは、今回が2度目となる。
R部門を支える男、ジョスト・キャピト
2012年にフォルクスワーゲンのモータースポーツ担当ディレクターに就任したキャピトは、2013年、2014年、2015年にFIA世界ラリー選手権で同社を優勝に導いた。その後、2016年にマクラーレン・レーシングのCEOに就任。
マクラーレンでの短い勤務を経て、2017年にフォルクスワーゲンに引き抜かれ、ウルリッヒ・リーステンパット・リヒターの後任としてR部門を率いることになった。
それ以来、キャピトは最新のゴルフRをはじめとする数々のパフォーマンスモデルの開発に携わってきた。
R部門に影が差し始めたのは、フォルクスワーゲンが世界ツーリングカー・カップ(WTCR)からの撤退を表明した2019年のこと。この動きは、最も人気の高いRモデルであるゴルフRとモータースポーツ活動との間のつながりを事実上断ち切るものだった。
今年の初めに発表されたトゥアレグRは462psと強力だが、標準モデルと同じサスペンションを使用したプラグイン・ハイブリッドであるにもかかわらず、「R」の名を冠している。
また、IDシリーズのパフォーマンスモデルは、来年春に発売予定のID.4 GTXを皮切りに、「GTX」の名前を採用することになっている。
ID.Rプロジェクトをはじめ、フォルクスワーゲンのモータースポーツ活動を中止するというブランドシュテッター会長の決定は、RモデルのEVシリーズを確立するという以前の計画を打ち切ったようにも見える。
キャピトは1989年からグループ傘下のポルシェのレーシング部門に勤務していた。1996年からザウバーF1チームの監督を務めた後、2001年にフォードに入社し、フォーカスRSに代表されるRS部門とモータースポーツ活動を担当した。キャリアを通じてモータースポーツに身を捧げてきた人物である。