【電動モデルに集中】フォルクスワーゲン、モータースポーツから撤退 ID.Rプロジェクトも終了
公開 : 2020.12.07 18:05
フォルクスワーゲンがモータースポーツ活動から撤退すると発表しました。経営資源を電動モデルの開発に集中させる意向です。モータースポーツ部門の169名のスタッフは、別事業に移籍されることなります。
モータースポーツ社は閉鎖
フォルクスワーゲンは12月1日、モータースポーツ活動を終了すると発表した。今後は「ID」シリーズをはじめとする電動モビリティの開発に注力する意向だ。
声明によると、169名のスタッフを抱えるモータースポーツ部門は、今後数か月のうちに別の事業に統合される予定だという。
昨年、同部門はEVレース活動のID.Rプロジェクトに集中すると発表したばかりだが、これも終了することになる。
開発担当役員のフランク・ウェルシュは次のように述べている。
「フォルクスワーゲンブランドは、持続可能な電動モビリティのリーディング・プロバイダーになろうとしています。そのため、わたし達の力を結集すべく、モータースポーツ活動を終了することを決定しました。モータースポーツの経営資源は、フォルクスワーゲンAGに統合されることになります」
「モータースポーツ社員の深い技術的専門知識とID.Rプロジェクトから得たノウハウは社内に残り、IDファミリーのさらなるモデル開発に活かされます」
ラリーカーのポロGTI R5とツーリングカーのゴルフGTI TCRのカスタマーレースも終了。ポロGTI R5の生産は今年末までとなる。両モデルのスペアパーツの供給は長期的に「確保されている」という。
アウディも同事業の抜本的再編へ
フォルクスワーゲン・モータースポーツは50年の歴史を持つ。
過去10年間では、世界ラリー選手権で4回、世界ラリークロス選手権で3回、TCR国際ツーリングカー選手権で2回、ダカール・ラリーで3回の優勝を収めるなど多くのレースで華々しい功績を残している。
また、EVレーシングカーのID.Rは、さまざまな記録を更新してきた。パイクスピークのヒルクライムの総合記録を更新したほか、ニュルブルクリンク・ノルドシュライフェと中国の天門山でEV記録を樹立した。
モータースポーツ部門のトップであるスベン・スミーツは今年初め、AUTOCARに対し第2世代モデルの開発を進めていると語っていた。
兄弟ブランドであるアウディも、モータースポーツ事業の抜本的な再編を発表している。
アウディは2021年のシーズン終了後にフォーミュラEから撤退し、2022年のダカール・ラリーに向けた新しい電動モデルの開発に注力するとしている。また、世界耐久選手権の最上位クラスであるル・マン・デイトナ・ハイブリッド(LMDH)のハイパーカークラスへのエントリーを「集中的に準備」しているという。