【バイデン政権どう変わる?】トランプと違うアメ車復活計画のゆくえ オバマ「失策」などから将来を予想

公開 : 2021.01.02 11:05

トランプからバイデン大統領へとなんとか政権交代。クルマを取り巻く政策はどう変わるのか? オバマ時代、トランプ時代を振り返り、今後の動きを予想します。

なんとか政権交代? 自動車政策は?

text:Kenji Momota(桃田健史)
editor:Taro Ueno(上野太朗)

これで、アメ車の未来が大きく変わるのか? ジープやハマーの電動化が、さらに加速するのか? 第二、第三のテスラが次々と誕生するのか?

アメリカ新政権での自動車政策に、世界の関心が高まっている。

ジョー・バイデン
ジョー・バイデン    shutterstock

大揺れだったアメリカ大統領選挙。

トランプ大統領の新型コロナウイルス感染、投票不正問題疑惑など、様々な出来事が起こり、日本でも連日報道された。

本稿執筆時点では、新しい閣僚候補が紹介されるなど、2021年1月にバイデン政権発足に向けて着々と準備が進んでいる。

そうした中で気になるのが、自動車産業への政策だ。

トランプ政権とは180°転換する可能性が高いと、筆者は見る。

保護主義政策を全面に打ち出したトランプ大統領。労働者層の支持を得るため、「バイ・アメリカン(アメリカ製品を買おう)」を推奨してきた。

政権発足して間もない頃、トランプ大統領は日米の自動車メーカートップとホワイトハウスで会談し「アメリカ国内での製造強化への積極的な投資」と「雇用拡大」を要望した。

こうしたやり方は、オバマ政権とはまったく違う。自動車産業界との協調ではなく、威圧的に強制力を見せつけたのだ。

結果的に、フォードなど海外拠点での製造計画を大幅に見直し、アメリカ国内への事業投資が増えた。

では、バイデン政権ではどうなるのか?

「グリーンニューディール政策」とは

バイデン新政権の閣僚人事を巡って、「オバマ政権へ戻っていく」という感想がメディア各社から上がってきている。

これは、自動車産業でも同じになる可能性が高い。

バラク・オバマ(2008年)
バラク・オバマ(2008年)    shutterstock

では、オバマ政権で、クルマに関して何が起こったのか。

当時の全米各地で取材した、筆者自身の取材を基に振り返ってみたい。

基盤となるのは、「グリーンニューディール政策」だ。

アメリカ環境省が数兆円にも及ぶ予算を投じて、アメリカ発の次世代車事業などに投資した。

ニューディール政策とは1930年代の大恐慌時、当時のルーズベルト大統領がおこなった大規模な経済刺激策である。

その環境バージョンとして、オバマ大統領はグリーンニューディール政策と呼んだ。

その中で、自動車関連では大きな柱が2つあった。

1つは、次世代車のアメリカ国内製造拠点建設に向けた低利子融資だ。大手メーカーではフォードと日産、ベンチャーではフィスカーとテスラだった。

テスラが現在のように、株価の時価総額で自動車メーカー世界ナンバーワンとなるための基盤となったのが、このアメリカ政府からの資金サポートだった。

本来、返済期間は10年間なのだが、テスラはかなり短い期間で融資分を完済している。

アメリカ政府からの融資というお墨付きを得たことで、民間からのさらなる投資などを呼び込むことができたからだ。

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