【カーシェア投資】信販会社も認めた違法な販売手法 全国の中古車店に警告文書が送付 「ローン貸し」とは
公開 : 2020.12.15 05:45 更新 : 2022.03.25 18:51
スカイカーシェアを運営するグループを中心にしたカーシェア投資。信販会社も認めた違法な販売手法。全国の中古車店に警告文書が送付されていました。
「スカイカーシェア事件」の現在は?
スカイカーシェアを運営するグループ(4社で構成されるSグループと表記)が10月8日に事業停止を投資者に発表して2か月が過ぎた。
AUTOCAR JAPANでは10月10日公開の第一報から様々な情報をお伝えしており、前回の記事「【じつは最初からアウト!】『わ』ナンバーにならぬ高級車カーシェア投資 国交省に聞くと…『共同使用』の定義から大きく外れていた」では、Sグループの業態が実は最初から違法だったことを伝えた。
スカイカーシェアは、「個人オーナーの車両を共同使用する個人間カーシェアなのでレンタカーのような、わナンバーにもならず、高級車が格安で借りられる!」としてタレントやユーチューバー、インフルエンサーなどを起用して宣伝活動をしていた。
ローン代金も自動車保険料もすべてSグループから投資者に入金されて、信販会社や保険会社には投資者の口座から引き落とされていた。
一例をあげるとローン契約成立で車両代金の1割、毎月1万円、7年契約終了時に100万円が支払われる契約だったが、10月8日以降、投資者への入金は一切ない。
11月20日に東京地裁へ破産申請がおこなわれ、現在は破産管財人から債権者に対して車両返却の方法などを確認している状況だ。
車両650台のうち300台前後はいまだ、川口市内にある数か所の駐車場に保管されているが、現在は諸々の調査のため駐車場が閉鎖されてクルマを出すことはできない。
また、貸し出したまま戻ってこないクルマもあり、未納車(90台)の存在もつい先日、管財人の調査で明らかになった。
大手信販会社から全国の自動車販売店に警告文書
このような中、12月10日には大手信販会社X社から、全国のオートクレジット加盟店(自動車販売店)に対して、「カーシェアリングビジネスを目的としたオートクレジットの不正行為について」という警告文書がFAXなどで送信された。
この文書ではSグループを特定していないが、時期や不正内容からしてスカイカーシェアを示唆しているのは間違いないだろう。不正行為の内容を紹介しておこう(→以降は筆者による解説)。
1.カーシェアリングビジネスを目的として不正にオートクレジットを契約している事例が発生
→個人使用が前提なのにカーシェア車両を目的とした車両購入
2.車両の購入にあたっては販売店を紹介されたり、紹介者が取次している例
→個人名義のローン契約のはずが、実際にはSグループが紹介者となって取次。中には違法な「ローン貸し(軒貸し)※後述」も存在する。
3.紹介案件では販売価格を大幅に上乗せしたり、紹介者への納車を要求したりする例も
→事故車、不動車、盗難車、メーター改ざん車など価値が低いクルマを500万円前後で販売していた例多数。また本来は個人へ納車されるはずが、すべて紹介者(Sグループ)に納車されている
4.オートクレジットで契約した車両は信販会社に所有権が留保されており、他人への譲渡や賃貸は約款で禁止されている
→信販会社の約款でも禁止されているが、「割賦販売法」という法律でも規制されている。