【好感の塊】新型ランドローバー・ディフェンダー再考 思ったより「高級」ではなく「気さく」 ディーゼル本命か

公開 : 2021.01.06 17:45  更新 : 2021.10.11 13:37

新型ランドローバー・ディフェンダーが注目され、今、ひと段落といったところでじっくり見つめ直します。試乗車は「110 SE」です。2021年モデルも気になります。

好感の塊、新型ディフェンダー再考

photo:Masakatsu Sato(佐藤正勝)
editor:Taro Ueno(上野太朗)

今年の8月頃は新型ディフェンダーで3000km近いマイレッジを刻んだ。

もちろん仕事の依頼があって試乗しているわけだが、実際にとても気に入った。このまま自分の愛車にしてしまいたい! とも思った。

ランドローバー・ディフェンダー110 SEのフロントマスク
ランドローバー・ディフェンダー110 SEのフロントマスク    佐藤正勝

新型ディフェンダーに触れる前は、武骨なランドローバーの原種が現代的な当たりの柔らかいヤツになっていたら残念だなぁなどといらぬ心配をしていた。

ところがラダーフレームを持たない、つまり背骨のない(?)新型ディフェンダーは、当たりが柔らかいにも関わらず、想像をはるかに超える完成度を見せつけてくれたのである。

強固なアルミモノコックのボディとストローク感のあるエアサスの組み合わせは、軽快ですこぶる快適。オフロードにおいてもフィジカルな運動性能の高さと、電子制御デバイスの賢さが絶妙にミックスしており好感が持てた。

一方スタイリングの面でも、伝統をしっかりと継承しつつ、近未来感を込めることも忘れていない点が気に入った。

似たような存在にBMWプロデュースのミニがある。だがあちらは伝統こそ継承しつつコンテンポラリー(現代的)ではあるが、近未来感までは含んでいないのでちゃんと歳をとる。

それに比べるとディフェンダーは経年変化と無縁な気がする。先代がそうであったように。

あれから3か月ほどが経ち、再びディフェンダーと横浜の街で会った。今回はもう少し冷静な見方ができるかもしれない。

思ったより「高級」ではなく「気さく」

最初に新型ディフェンダーに触れた際、そのオールマイティぶりに、他のランドローバーの立場はどうなるの? と思った。

業界的によく言う「カニバる」というパターンだ。

ランドローバー・ディフェンダー110 SE
ランドローバー・ディフェンダー110 SE    佐藤正勝

でも今回、横浜の高級ホテルのエントランスで撮影していた時、棲み分けはちゃんとしているのだなと思えた。

室内は簡素で、外観に光りモノがあるわけでもないのだ。高級ホテルは場違いではないが、泊まるなら車中泊だって全然OKという雰囲気が新型ディフェンダーにはある。

走るステージと同じように、乗り手の服装に関しても幅広く許容してくれそう。高級ホテルやゴルフ場ではご法度のサンダル・短パンもOKだし、ベトベトしたバブアーのオイルドジャケットと泥っぽいハンターブーツで乗り込んで、窓開けヒジ出しもサマになる。

思っていたよりも気さく。貴族的ではなく田舎のおじさん感覚でOK。これって現行レンジローバーでは難しいでしょう?

今回も走りの好印象は変わらなかったが、毎日使うにはちょっと大きいと思った。駐車場の枠からはみ出しそうだし、路地でターンする時でもホイールベースが長く取り回しが面倒。

そこで気になるのは来春に上陸するという90である。2ドアの90は110と比べホイールベースが43cmほど短くなり、スタイリングのスペシャリティ感も高い。

するといよいよライバルもいなくなる? だが今回、ディフェンダー関係で気になる情報を小耳にはさんでしまった。それは……。

記事に関わった人々

  • 佐藤正勝

    Masakatsu Sato

    1964年生まれ。1984年東京工芸大学短期大学部写真技術科卒業後、八重洲PRセンターに入社。86年にF1/ルマン24時間を撮影後何かのスイッチが入ったらしく退社。フリーとなり国内外のレースを撮影。91年に撮影したDTMで、また何かのスイッチが入ったらしくどっぷりドイツ漬けに。現在は撮影のみならず、CS放送でのレース解説や雑誌への執筆も。
  • 吉田拓生

    Takuo Yoshida

    1972年生まれ。編集部員を経てモータリングライターとして独立。新旧あらゆるクルマの評価が得意。MGBとMGミジェット(レーシング)が趣味車。フィアット・パンダ4x4/メルセデスBクラスがアシグルマ。森に棲み、畑を耕し蜜蜂の世話をし、薪を割るカントリーライフの実践者でもあるため、農道のポルシェ(スバル・サンバー・トラック)を溺愛。

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