【テスラ人気いつまで続く】モデル3販売絶好調 エントリーモデル270万円計画も トヨタはどう対抗?
公開 : 2021.01.04 11:05
テスラが快進撃を続けています。いまや時価総額でトヨタや他の日系メーカー7社の合算額を大きく上回る巨大企業へと変貌。この勢い、いつまで続く?
テスラ時価総額、三大メーカーを圧倒
テスラがここまで一気に成長するとは!
本稿執筆時点(2020年12月半ば)、テスラの時価総額は59兆5000億円に達し、自動車メーカーとしてはトヨタ、フォルクスワーゲン、GM(ゼネラルモーターズ)という世界三大メーカーを圧倒している。
生産台数で見れば、年産50万台レベルであり、大手メーカーの20分の1程度しかない。
それにもかかわらず、高い株価を維持できるのは、たんにテスラの商品に対する評価だけではなく、近年世界的な広がりを見せているESG投資の影響が極めて大きい。
経済産業省はESG投資について「従来の財務情報だけでなく、環境(エンバイロンメント)・社会(ソーシャル)・ガバナンス要素も考慮した投資を指す」と説明している。
ESG投資は、自動車メーカーの在り方を大きく変えたといえる。
とはいえ、自動車メーカーの基本は、自動車の製造、そして販売であることに大きな変りはなく、テスラという企業の基本形態はトヨタやメルセデス・ベンツと大きな違いはない。
見方を変えると、自動車メーカー大手がEVに対する事業方針を大きく変え、またEV周辺事業に対する投資を増やすことで、テスラの市場競争力が弱まる可能性も否定できない。
今後、テスラの成長はいつまで続くのだろうか?
テスラの歩み 2008年が転機
筆者(桃田健史)は、テスラが2003年に誕生して間もない頃から、テスラを定常的に取材し、経済媒体や自動車技術媒体などで記事化してきた。
そうした経緯を改めて振り返ってみると、テスラの大きな転機は2008年だったと思う。
それまで、現在のイーロン・マスクCEOは投資家の立場でテスラ創業者を下支えしてきたが、事業の行き詰まりから、マスク氏がみずから先頭に立って経営の立て直しを進めた。
当時のテスラは、旧GM系カーディーラーの店舗を使用して、初期モデル「ロードスター」の最終組付けと販売をおこなう、小さなベンチャー企業に過ぎなかった。
「ロードスター」は、テスラ創業者のロータス「エリーゼ」に対する趣味的な発想と、当時技術提携していたロサンゼルス郊外にあるEV開発事業者の電池/制御技術との兼ね合いから生まれたものだ。
いわゆる、コンバージョン(ガソリン車からEVへの転用)という範疇の商品だった。
ユーザーの多くが、新しもの好きの富裕層であり、詳しいEV性能について意見する人が少ないと、当時のテスラ関係者は語っていた。
それが、マスクCEO時代となり、オバマ政権が推進したグリーンニューディール政策による、米エネルギー省の次世代車・アメリカ国内製造支援制度を活用することを決めた。
これがきっかけとなり自動車大手との関係を深めていく。