【けっこう違った】新型メルセデス・ベンツEクラス・クーペ、セダンとの差 走りの違いをレポート

公開 : 2021.01.05 17:45  更新 : 2021.10.09 23:24

メルセデス・ベンツEクラス・クーペの試乗記です。グレードは「E 300クーペ・スポーツ」。セダンとの違い、走りの印象をお伝えします。

Eクラス・クーペ、セダンと結構違う

text:Shigeo Kawashima(川島茂夫)
photo:Hidenori Hanamura(花村英典)
editor:Taro Ueno(上野太朗)

AMGを除くメルセデス・ベンツの2ドアモデルにはクーペ/コンバーチブル/ロードスターの3タイプがあり、Eクラスは2ドアクーペの上位モデルとして設定。

クーペとコンバーチブルはそれぞれCクラス、Eクラスのバリエーションとして展開。

メルセデス・ベンツE 300クーペ・スポーツ
メルセデス・ベンツE 300クーペ・スポーツ    花村英典

ここで試乗したEクラス・クーペはメルセデス車2ドアクーペの最上位モデルとなる。

車体サイズはセダン対比で全長を95mm、ホイールベースを65mm短縮。全幅は10mm拡大し、全高は25mm低下。

ちなみにSLクラスのホイールベースはEクラス・クーペより290mmも短い。

言い方を換えるならEクラス・クーペのプロポーションはセダンに近いのだ。

流石に頭上の余裕は少なく、視角的閉鎖感も強いのだが、後席の居住性は2ドアクーペでは最良と言ってもよく、成人男性の4名乗車も意外といける。

ただ、2ドア車としてのキャビンの実用性は副次的魅力だ。

Eクラス・クーペの外観やキャビンを一言でまとめれば「エレガント」。外観ではキャビン長を活かしたルーフラインからテールエンドに続くラインが、内装では広さを二人で贅沢に使うような空間感覚がゆったりとした雰囲気を醸し出す。

このナリあってこの走りとなるのもEクラス・クーペ。スポーツカーとは違ったラグジュアリークーペの在り方を再認識させられた。

好意的 ただし電気の時代、悩ましい

AMG車を除いて日本に導入されるEクラス・クーペには3モデルが設定され、試乗したE 300は4気筒あるいはFRの上位に位置する中間設定モデル。

マイルドハイブリッド非採用のためMB車のパワートレインラインナップの中では旧世代の印象も否めないが、ロングストローク設計や豊かな低回転トルクもあってWLTC総合モード燃費はマイルドハイブリッドを採用したE 200からの低下は11%弱。高速モードでは5%弱でしかない。

メルセデス・ベンツE 300クーペ・スポーツについて筆者は「とてもいい感じだけど、電気の時代にちょっと遅れた印象を受けてしまうのが悩ましい」
メルセデス・ベンツE 300クーペ・スポーツについて筆者は「とてもいい感じだけど、電気の時代にちょっと遅れた印象を受けてしまうのが悩ましい」    花村英典

パワーフィールは「出来のよい内燃機」の印象。最大トルクを1800rpmから発生するトルク特性もあり、どの速度域でも悠々たる力感を見せ、踏み込めば6000rpm超まで心地よい加速を維持。

260ps級の4気筒でも至って紳士的。悪く言えば少々迫力に欠くがEクラス・クーペの内外装の雰囲気によく似合っている。

ただ、マイルドハイブリッド採用車と乗り比べると、踏み込みの初期反応が鈍い。ダウンシフトを挟む加速では目立たないが、巡航ギア維持した加速では僅かな「間」を意識する。

内燃機の優等生でも電動機の即応性に及ばないのは仕方ない。それを優雅さと捉えることもできるが、かなり好意的な解釈だ。

とてもいい感じだけど、電気の時代にちょっと遅れた印象を受けてしまうのが悩ましい。

記事に関わった人々

  • 川島茂夫

    Shigeo Kawashima

    1956年生まれ。子どものころから航空機を筆頭とした乗り物や機械好き。プラモデルからエンジン模型飛行機へと進み、その延長でスロットレーシングを軸にした交友関係から自動車専門誌業界へ。寄稿していた編集部の勧めもあって大学卒業と同時に自動車評論家として自立。「機械の中に刻み込まれたメッセージの解読こそ自動車評論の醍醐味だ!」と思っている。

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