【コロナ禍なのに】クルマの売れ行き、悪影響が最小限で済んだ背景 過去4年の平均と今年の実績を比較
公開 : 2020.12.29 08:25 更新 : 2021.10.09 23:42
結論、2020年の国内自動車販売は、コロナ禍にもかかわらず、悪影響は最小限でした。クルマの価値が見直され、注目車が「豊作」だったことが背景です。
実際に売れている? 過去4年比較
2020年の日本の経済は、コロナ禍という厄災で大打撃を受けた。4月から5月にかけては、緊急事態宣言が発令され、誰もが自宅で息を潜めるような生活を送った。
外に出ないのであるから、観光やイベント、外食産業といったところは、当然にひどい目にあっている。では、自動車産業はどうなのか。
欧州では自動車メーカーの向上操業停止が3月から4月にかけて1か月以上という長期間に及んでいる。
一方、日本の場合、自動車メーカーの操業停止は、幸いなところ、ごく限定的なもので済んだと言えるだろう。
しかし、問題はクルマの売れ行きだ。実際のところ、どれだけ売れたのか。いや、売れなかったのか。
そこで、過去の販売実績と今年の販売実績を見比べてみたいと思う。
どれだけの差があったのか数字で見るのだ。
ただし、昨年は秋に消費税の増税という、例年にないイレギュラーなマイナス要因があった。そこで過去の月販の販売の平均をとって、それと比較してみたい。
数字は、一般社団法人 日本自動車販売協会連合会が公開している2016年からの4年分だ。数字には登録車だけでなく、軽自動車の販売数も含まれる。
新車販売を見比べると秋からプラス!
一般社団法人 日本自動車販売協会連合会が公開している2016年からの4年分の月ごとの月販新車販売台数の平均と、今年の実績を比較したのが、以下の表となる。
1月や2月は、例年よりも少し少ないかなという90%台で推移するも、3月、4月、5月と急落。5月は例年比59%という、ひどい数字となった。
ちょうど、政府による緊急事態宣言の時期と重なっている。家を出られないのだから、クルマを買いにいくこともできず、売れ行きが悪化するのは、当然のことだろう。
ところが、驚くことに6月から回復傾向になり、10月は例年比プラスを記録。
去年の10月はというよ、消費税が10%に増税され、買い控えがあったこともあり、例年よりも販売台数は少なかった。
しかし、2020年10月は、消費税増税の2019年10月を上回るだけでなく、過去4年の平均さえも抜き去ったのだ。これは驚きだ。
ちなみに、2020年10月の「乗用車ブランド通称名別順位」を見ると、1位はヤリス、2位ライズ、3位ルーミーとなっている。
ヤリスは、8月末に派生となるSUVのヤリス・クロスを投入した直後であるし、ルーミーも9月にマイナーチェンジを実施している。
それ以下のランキングでは、4位がカローラ、5位はアルファード、6位はハリアーとトヨタが続き、7位でようやくホンダのフィットがランクインしている。
トヨタがずらりと並ぶ。トヨタの力、おそるべし!
そして、11月も例年並みの販売を記録。12月の例年並みであれば、トータルで例年比89%となる。
どうやら、今年の新車販売の痛みは最小限に済んだと言えるだろう。
コロナ禍でありながらも、減少が1割で済んだというのは、思いがけない幸いだ。
では、中古車の販売はどのように推移したのだろうか。