【あれ、そういえば】マツダのミニバン「MPV」なぜなくなった? 後継は本当にない? 期待は第8世代か
公開 : 2021.01.01 11:25 更新 : 2021.10.11 09:40
マツダのミニバン「MPV」を覚えていますか? 近年はミニバンのラインアップがありません。なぜ? 復活の可能性は? 新型車試乗やマツダ事業計画の中から予想します。
マツダのミニバン、なぜなくなった?
2020年末時点で、マツダにミニバンがない。
マツダのミニバンといえば、2016年までMPVがあったが、その後継の噂が広島方面から聞こえてくることは、これまでなかった。
これまで筆者は、様々な機会にマツダ幹部数人に「なぜ、マツダにミニバンがなくなったのか?」とストレートに聞いてきた。
回答は、人によってニュアンスの違いは多少あったが、言いたいとすることはほぼ同じ。
「ミニバンは競争が激しく、マツダとして戦く体力がない」というものだった。
結果的に、ミニバンのように使える3列シートSUVとして「CX-8」が登場したが、マツダラインナップでは最上級に位置するモデルであり、庶民にとっては高値の華に感じてしまう。
そもそもMPVは「マルチ・パーパス・ヴィークル(多目的車)」であり、ワンボックスカーとかミニバンというカテゴリーとして生まれたモデルではない。
それが、2000年代以降に日本でミニバンが登録車の主力カテゴリーとなり、さらに北米市場を並行して考えた結果として、スライドドア式のミニバンに進化した。
さらに3代目になると、上級な車格に、CX-7などで採用していた2.3L直4ターボというスポーティなアレンジとなった。
筆者個人としては、とても気に入っていたクルマだったが、マツダ第6世代という新戦略のなかで、MPVは消滅する……。
マツダMPV、延命措置が施された
3代目MPVの2016年ディスコン(生産中止)というのは、マツダ商品企画を俯瞰すると、かなり遅い印象がある。
本来はその4年前、2012年にその使命を終えていても不思議ではない。
理由はマツダ第6世代におけるミスマッチだ。
この第6世代という表現はマツダ社内用語であり、それがメディアを通じて一般ユーザーにも広まった。
第5世代までは、ラインナップ全体の世代という認識がマツダ社内でも薄かった。
それぞれのカテゴリーで、個車としてモデルが世の中のトレンドを追いかけるような形となり、マツダブランド全体としての統一感に欠けていた。
その結果、リセールバリュー(下取り価格)の評価を下げ、それが新車で大幅値下げを強いられるという、いわゆるマツダ地獄に陥った。
こうした負の連鎖を断ち切るため、第6世代という世代交代を掲げた。
具体的な戦略としては、魂動デザイン、スカイアクティブ・パワートレイン技術、さらに製造部門の大変革を三本柱とした。
マツダ史上、最も大きな事業転換といえるこの2012年、CX-5から始まった第6世代。そのタイミング、または1~2年後にMPVがフェードアウトしてもおかしくはなかったはずだ。
だが、第6世代ラインナップ構想が確定した時点でMPV後継のミニバン導入は描かれておらず、販売店からの要望もあり、MPVは2016年まで延命する。