【電動化率1位はトヨタではない?】今、電動車(xEV)が多いメーカーはどこ? ディーゼル再び悪役になるのか
公開 : 2021.01.01 08:25 更新 : 2021.10.09 23:42
「2030年ガソリン車禁止に」という衝撃的な報道がなされる中、電動車は主流となり得るのでしょうか。2020年の日本自動車メーカーの販売実績を振り返ります。
2030年のガソリン車禁止とは
まず、政府による「2030年ガソリン車禁止」というのは、聞き方によっては「あと10年足らずで、世の中のクルマすべてが電気自動車(EV)になる」とも思える。
たしかに、100%EVになるとなれば大事だ。しかし、それはまったくの勘違いである。正確には「電動化されていないガソリン・エンジンだけのクルマの販売禁止」だ。
電動車(xEV)とは、EVだけでなく、ハイブリッドカーやプラグインハイブリッド(PHEV)、燃料電池車(FCV)なども含む。重要なのはハイブリッドカーも含まれていることだ。また、重要なのは決定ではなく、まだ議論中であるということ。さらに「2030年まで」ではなく「2030年代のうち」というのが正解だ。
ちなみに「エンジンだけのクルマをなくして、すべてを電動車(xEV)にする」という目標は、今に始まったものではない。経済産業省による自動車新時代戦略会議では、2018年の時点ですでに「2050年に100%電動車(xEV)」という長期的なゴールが話し合われていた。また、そこで2030年までに「新車販売に占める次世代自動車の割合を5~7割とする」という目標が謳われていたのだ。
そのような意味では、今回の騒動は2050年の目標が、2030年代に前倒しになったのが今回の報道だ。ただし、これは仕方のないことだろう。なぜなら、「新車販売に占める次世代自動車の割合を5~7割とする」という目標は、すでに達成目前となっているからだ。
日本のガソリン車の新車販売は6割を切っている
ハイブリッドカーの代名詞と言えば、トヨタのプリウスだ。そのプリウスが昭和のベストセラーカーであるカローラを打ち破って、年間販売台数ナンバー1に輝いたのは2009年。すでに10年以上も前になる。その後、年間1位の座にはプリウス、アクア、ノートが名を連ねる。
プリウスとアクアはハイブリッド専用車であるし、ノートもハイブリッドを追加してから販売を伸ばして1位を獲得している。ご存知のように日本国内でハイブリッドは、すでに珍しいどころか主役という存在だ。
そのため先の経済産業省による自動車新時代戦略会議が開催された2018年末の時点で、すでに新車販売のうちガソリン車の占める割合は、約55%にまで減っていた。つまり、「新車販売の5~7割を次世代自動車に」という目標は、立てた時点ですでに達成目前であったのだ。
ただし、現実には、その後の推移は足踏み状態にとどまる。2020年はガソリン車だけの「ライズ」という大ヒット車が生まれたこともあってか、1~11月の「燃料別販売台数(乗用車)日本自動車販売協会連合会発表」のデータをまとめてみると、登録車の新車販売に占めるガソリン車の割合は約56%。ハイブリッドが約37%、ディーゼルが約5.8%、EVが約0.56%となる。
この数字は、過去5年を見ると横ばいに近い。ただし、何かガソリン車に不利な規制ができたり、ハイブリッドのヒット車が生まれれば、すぐに動きそうな状態ともいえるだろう。