【日本車がどうしても勝てない「聖域」】 アメリカでビッグ3のピックアップトラックが大人気の理由とは?
公開 : 2021.01.05 07:05 更新 : 2022.03.25 18:50
お家芸というのはどこの国にもあるのでしょうか。日本車メーカーも力を入れているアメリカでのピックアップトラックの販売で、日本車勢がなぜ勝てないのかを考察します。
フォードF150は世界一売れている四輪車
アメリカで40年近くに渡って、四輪車ナンバーワンの販売台数を誇る「フォードFシリーズ」は、かつて日本にも少数ではあるが近鉄モータースを中心とするフォード輸入組合各社によって販売されていた。
フォードFシリーズは、フォード社の屋台骨ともいえるピックアップトラックだ。かつては、ホイールベースなどの違いによってF150/F250/F350…と名付けられていたが、1999年にF150以外は「スーパーデューティシリーズ」として独立。以降、Fシリーズといえばほぼ、F150のことを指す(データによってはF250以上を含む場合もある)。
なお、販売終了するまでのフォード・ブロンコはF150をベースにしたSUVで、F150の荷台に屋根と後部座席が付いたクルマというくらいに近い存在だった。
ピックアップの国アメリカでは、長年にわたる超ベストセラーで、ライトトラックカテゴリーにおいてはもちろん、アメリカで販売される四輪車全体においても約40年、販売台数1位の座に君臨している。アメリカで販売台数1位となれば、それは、しばしば世界1位となることもよくある。
2018年にはなんと世界54か国合計で約108万台を売り上げて世界一を記録した。Fシリーズは商用利用も多く、2017年にフォードが発表した数字によると、廃棄物処理業者の81.7%、政府職員の78%、電気サービス業者の72.7%がフォードのトラックを使っているとのこと。
ビッグ3のトラックが例年上位占める
アメリカ四輪車の世界では販売台数のトップ3は以下のように、例年1位がFシリーズ、2位/3位がシボレー・シルバラードまたはラム・ピックアップと、いずれもピックアップトラックが占めている。
この傾向は長年続いており、1位は40年以上Fシリーズで2位/3位はたまに入れ替わるという状況。だいたい2位はシボレーになっているが、2019年はフルモデルチェンジしたラムの人気が非常に高く、前年比プラス18%で2位に躍り出ている。
また、最新の販売台数データ(2020年1~9月累計)においても、相変わらず上位はピックアップトラックで、4位以下に日本車が続く。
2020年1〜9月累計 米国自動車販売台数ランキング
1 フォードFシリーズ:22万1647台
2 シボレー・シルバラード:14万7484台
3 ラム・ピックアップ:15万6156台
4 トヨタRAV4:11万9214台
5 ホンダCR-V:8万8436台
2019年米国自動車販売ランキング(2019年/モデル別)
1 フォードFシリーズ:89万6526
2 ラム・ピックアップ:63万3694
3 シボレー・シルバラード:57万5569台
4 トヨタRAV4:44万8068台
5 ホンダCR-V:38万4168台
6 日産ローグ:35万447台
7 シボレー・エクイノックス:34万6049台
8 トヨタ・カムリ:33万6978台
9 ホンダ・シビック:32万5650台
10 トヨタ・カローラ:30万4850台
(出典:兵庫三菱)
いずれも、1〜3位はピックアップトラック、4位以下はシボレー・エクイノックス以外は全部日本車である。