【GT-Rという孤高のクラス】日産GT-R ニスモへ試乗 27kgの軽量化 新ターボで600ps
公開 : 2021.01.02 19:05 更新 : 2021.03.05 18:51
手を焼く英国の道で、スーパーカーを圧倒する速さを見せつける2+2スポーツ、GT-R。2020年版のアップグレードを受け、速さに磨きをかけました。モデル末期を迎えつつあるR35型のニスモ仕様を、英国編集部が評価しました。
もくじ
ー発表から13年 進化を続けるGT-R
ー新しいターボ 車重は先代ニスモより27kg軽量
ーGT-Rという独自のクラス
ー速度を上げるほど良くなるハンドリング
ー速く走るほどにエキサイティング
ー日産GT-R ニスモ(英国仕様)のスペック
発表から13年 進化を続けるGT-R
やっと英国にも届いた。2019年の半ばに発表され、英国では2021年から手に入るようになる、2020年仕様の日産GT-R ニスモだ。R35と呼ばれる現行型のGT-Rにとっては、そろそろ最後のアップデートに近づいてきたようだ。
日産は、GT-Rの改良を毎年のように繰り返している。徐々にライバルも進化していく状況だから、当然とはいえる。
日産の技術者は改良を施せる部分を見つけ出し、調整を加え、進化させ続ける必要がある。発表から13年が経過するが、まだ成長しろは残されていたようだ。
GT-Rのさらにハードコアな仕様、ニスモが登場したのは2015年。その後にフェイスリフトを受け、ニスモは2017年にもアップグレードが施されている。2020年仕様は、それに続く進化版となる。
大きな2+2のクーペということに変わりはない。複雑な四輪駆動のメカニズムを搭載していることも、発表当時と同様。しかし、ニスモの技術者が施した改良のハイライトは、そこにある。マニアックではあるのだが。
ダンロップ製の純正タイヤ、スポーツマックスは、フロント側で溝が1本減らされたという。接地する部分のゴムの量は、11%増えている。サイズは20インチで、フロント255/40、リア285/35。コンパウンドも見直され、グリップは7%引き上げられている。
タイヤの接地性を高めるため、ショルダーは丸みが強められた。タイヤ自体のコーナリングフォースは、5%増している。
新しいターボ 車重は先代ニスモより27kg軽量
タクミと呼ばれる職人が手作業で組み立てる3.8L V型6気筒エンジンには、ターボが2基組み付けられている。従来のニスモどおりGT3のレースカー譲りだが、新設計のもの。
このターボは、タービンのフィンが従来より1枚少ない10枚となり、フィンの厚みも0.3mm薄くなっている。4速、110km/hで走行時にアクセルペダルを踏んだ場合、14.5%の質量減と24%の慣性減により、エンジンレスポンスが20%鋭くなるらしい。
最高出力は今までどおり600ps。カーボンファイバー製のパーツが増やされ、1馬力ごとに受け持つ質量は小さくなっている。
新しいフロントとリアのバンパー、大きなウイングは先代のニスモより4.5kgも軽量。カーボンファイバー製のルーフは4kg、ボンネットは2kg、重量を削っている。専用のホイールも、1本当たり25gだけだが軽くなっている。
カーボンセラミック・ブレーキを採用し、フロント側のディスク直径は410mmもある。それでいて、従来より16.2kgも軽く仕上がっている。
これらを積み上げることで、新しいGT-R ニスモはこれまでのニスモより27kg軽い。車重としては1725kgと、相対的には軽いとはいい難いが。
控えめながら、軽量化を考慮してサスペンションは柔らかくなっている。伸長時で20%、収縮時で5%、スプリングレートが下げられ、ダンパーもソフトに改められた。パワーステアリングにも調整を受けている。