【どのハイブリッドが生き残る?】トヨタ方式/日産&ホンダ方式を比較 マイルドハイブリッドにも注目

公開 : 2021.01.20 05:45  更新 : 2021.10.22 10:13

今や定番の技術となったハイブリッド。各メーカーがハイブリッド車を用意し、選択の幅も広がりましたが最もよいものは?それぞれのハイブリッド方式を比較します。

売れ筋はトヨタ日産ホンダの3メーカーに集約

text:Yoichiro Watanabe(渡辺陽一郎)
editor:Taro Ueno(上野太朗)

初代トヨタ・プリウスが世界初の量産ハイブリッドとして登場してから20年以上が経過した。

ハイブリッドは今では定番の環境技術になり、小型/普通乗用車に占める割合は38%に達する。売れ筋の小型/普通車については、ほとんどの車種でハイブリッドを選べるようになった。

トヨタ・プリウス
トヨタ・プリウス    トヨタ

価格の安い軽自動車などが採用するのは、主にマイルドハイブリッドだ。マツダも現時点で用意するのは、MX-30のマイルドタイプのみになる。登録台数の多い売れ筋のストロングハイブリッドは、トヨタのTHSII、日産のeパワー、ホンダのe:HEVに集約される。

このうち、トヨタのTHSIIは、エンジンとモーター駆動を併用する。日産のeパワーは、エンジンは発電機を作動させ、駆動は発電された電気を使ってモーターが担当する。ホンダのe:HEVも基本的な機能は日産と同様だが、高速道路の巡航などでは、エンジンがホイールを直接駆動する制御もおこなう。その方が効率が優れているからだ。

つまりeパワーの機能を上級化したのがe:HEVと考えればよい。このほか、三菱エクリプス・クロスアウトランダーPHEVは、前後のモーターが駆動を担当して、なおかつ前輪を直接駆動する制御もおこなう。プラグイン(充電の可能な)ハイブリッドでもあるから、高度なシステムを備える。

トヨタのTHSIIはボディも軽く燃費が優れている

主力となるハイブリッド・システムを整理すると、エンジンとモーター駆動を併用するトヨタのTHSIIは、車種数も多く独立したカテゴリーとして確立されている。

もう一方のグループは、エンジンは主に発電機を作動させ、駆動はモーターがおこなう方式だ。eパワー、e:HEV、PHEVがそこに属する。果たしてどちらが生き残るのか。

トヨタ・ヤリス・ハイブリッド
トヨタ・ヤリス・ハイブリッド

エンジンが発電機を作動させ、駆動はモーターがおこなうタイプは、電気自動車のバッテリーをエンジン/燃料タンク/発電機に置き換えたと考えればよい。

エンジンは発電に専念できるから、効率の優れた回転域を重点的に使える。速度が低い場合など、エンジンを効率良く回転させることで余剰な電力が生じるが、それはバッテリーに蓄える。そうすればエンジンを停止させ、モーター駆動のみで走る距離を伸ばすことができる。

このように考えると、eパワーやe:HEVは燃費性能が優れていると考えられるが、実際はトヨタのTHSIIも優れた数値を達成している。

最新のコンパクトカー同士でWLTCモード燃費(2WD)を比べると、トヨタのヤリス・ハイブリッドは35.4~36km/L、日産のノートは28.4~29.5km/L、ホンダのフィットは27.2~29.4km/Lだ。ヤリスの数値が突出している。

トヨタではTHS方式に20年以上に実績があり、長年にわたり効率を追求してきた。ヤリスは車両重量も軽く、2WDは1050~1090kgだ。ノートの1190~1220kg、フィット・ハイブリッドの1180~1200kgに比べて100kg以上軽い。軽量なボディもヤリスの燃費数値を向上させた。

また、基本的に同じユニットを使うコンパクトSUVのヤリス・クロス・ハイブリッドは、2WDの車両重量が1160~1190kgだ。ノートやフィットに近い。それでもWLTCモード燃費は27.8~30.8km/Lだから、車両重量が同等でも、THSIIは燃費が優れていることになる。

記事に関わった人々

  • 渡辺陽一郎

    Yoichiro Watanabe

    1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年間務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向した。「読者の皆様にケガをさせない、損をさせないこと」を重視して、ユーザーの立場から、問題提起のある執筆を心掛けている。買い得グレードを見極める執筆も多く、吉野屋などに入った時も、どのセットメニューが割安か、無意識に計算してしまう。

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