【忘れてはならない1.17】阪神・淡路大震災から学ぶ交通インフラ 当時の被害/現在の整備状況は?

公開 : 2021.01.17 05:45

2021年1月17日……阪神・淡路大震災から26年を迎えました。大規模地震が相次ぐ昨今、阪神・淡路大震災を教訓に交通インフラのあり方を考えます。

防災・減災対策のきっかけ「1月17日」

text:Naoki Furumoto(古本尚樹)
editor:Taro Ueno(上野太朗)

1月17日は阪神・淡路大震災発災の日である。あれから26年が経つが、この震災は、わが国の防災や減災対策の大きな転換期を迎えるきっかけになったといっても過言ではない。

直下型地震は建物の崩壊は避難経路を狭め、避難者の安全を脅かすこととなった。当時考えられなかったが現実として高速道路が崩壊する映像は、直下型地震の恐ろしさを提示している。

吹田ジャンクション付近
吹田ジャンクション付近    シャッターストック

建築基準法の改正のきっかけとなり、大規模な火災対策、建物の強靭化、また街づくりそのものとして避難経路確保のため、歩道の拡幅や、緊急自動車の走行を確保するための道路幅の確保の必要性があり、その対策をおこなっている。

阪神・淡路大震 交通インフラ被害

平成7年度運輸白書によれば同震災で鉄道は、山陽新幹線をはじめ、JR西日本、阪急電鉄、阪神電鉄など合計13社の路線において高架橋の落橋、トンネルや駅舎の損壊などの大きな被害が発生した。

港湾施設については、兵庫県、大阪府、徳島県の24港で被害が生じた。阪神間を結ぶ中国自動車道、阪神高速神戸線、湾岸線、国道2号、43号線といった主幹線道が寸断された。

JR西日本
JR西日本    シャッターストック

バスについては、兵庫県、および大阪府において、32事業者の車庫、営業所、ターミナルなどに被害が生じた。また、18事業者の172両の車両に被害が生じた。タクシーについては、営業所の被害が約520件、車庫の被害が約160件、車両は約760両が被害を受けた。

また、1183のトラック事業者が被災し、車庫、営業所等の施設、および車両の損壊などの被害が発生した。大阪国際空港については、滑走路、および誘導路のひび割れ、旅客ターミナルビルの外壁の剥落などの被害が発生し、関西国際空港についても、旅客ターミナルビル、鉄道駅、立体駐車場などにおいて、壁面にひび割れが発生するなどの被害が生じたものの、いずれも航空機の運航に支障は生じなかった。

地震発生直後、新幹線では、京都~岡山間が不通となったが、1月18日には姫路~岡山間(89km)、1月20日には京都~新大阪間(39km)が復旧した。しかし、新大阪~姫路間(92km)は4月7日まで不通であり、上下線あわせて1日当たり約11万人ものひとびとが影響を受けた。

これは、山陽新幹線全線(新大阪~博多間、623km)における1日平均輸送人員(6年度)約16万人のうち約71%を占めている。

また、JR在来線、および民鉄線では、発災当日中に復旧しなかった不通区間が、JR東海道・山陽本線尼崎~姫路間(80km)、阪急電鉄神戸線全線(32km)、阪神電鉄本線全線(32km)など合計約419kmにのぼり、約580万人の足に影響が出た。

その後、1月末の段階では、阪神間の幹線交通であるJR東海道本線(芦屋~神戸間、14km)、阪急電鉄神戸線(西宮北口~三宮間、17km)、阪神電鉄本線(青木~元町間、10km)を含め不通区間合計約93kmで、約250万人に影響があった。

バスは、震災直後、神戸市内では、ほとんどの路線が運休した。神戸港からは、淡路島、四国、九州などの各方面へフェリー、旅客船、高速艇が数多く就航しているが、それらの航路のほとんどが一時的に運航の中止を余儀なくされた。

しかし、港湾施設の応急復旧などにより、その一部については早期に運航が再開された。また、神戸港への寄港の一時中止や起終点を神戸港から大阪港などに一時変更することによる運航の維持も図られた。

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