【なぜ今】日産e-NV200ウインター・キャンパー発表 デリカPHEVへの布石も?
公開 : 2021.01.29 05:45 更新 : 2021.07.27 14:51
雪山で遊ぶための日産のEVバン・コンセプトが欧州で発表。日本での量産化の可能性について考えます。
e-NV200キャンパー発表 なぜ今?
冬のアウトドアを充実させる、e-NV200ウインター・キャンパー・コンセプト。
そんな題目で、日産は2021年1月20日にニュースリリースし、関連する画像や動画を世界初公開した。
なぜ、このタイミングでこうしたモデルを紹介するのだろうか。
昨今のキャンプブームで、日産はEVについてもキャンプ領域に本気になった、ということなのか? まさか、日本を含む昨今の世界的なEVシフトを受けて、2021年登場のアリアに次いで、e-NV200がビックマイナーチェンジをするのだろうか?
キャンプ好きやSUV派のユーザーにとっては、なんとなく気になる今回のコンセプトモデル発表である。
日産の意図はどこにあるのか?
これまでの日産に対するさまざまな取材、ならびに各種EVやキャンプ関連の取材や、各方面との意見交換を踏まえて、e-NV200ウインター・キャンパー・コンセプトの秘密に迫ってみたい。
発表タイミング 考え得る3つの理由
早速だが、第1の理由は、端的に「いまが冬」だからだろう。
車両を製造したのは欧州であるが、日本と同じく北半球の冬季における日産のモデルラインナップ全体に対するブランドイメージ・キャンペーンである。
車両自体がEVであることよりも、欧州の自然の中でノビノビと過ごす時間を表現することで、既存の新モデルの販売促進につなげる狙いではないか。ただ、少し気になる点がある……。
それは、ロゴだ。
発表にあわせて公開された動画のイントロダクション部分には、日産の新しいロゴが登場する。
日本では、日産ブランドアンバサダーの木村拓哉氏が登場するテレビCMですっかりお馴染みとなった新ロゴだ。新中期経営計画「ニッサン・ネクスト」を掲げて、経営状況のV字回復を狙る象徴として、日産はロゴを20年ぶりに刷新した。
だが、今回の発表にあわせて公開された動画に登場する車両ロゴは、既存のe-NV200が採用している旧ロゴのままだ。
このタイミングでのコンセプトモデルというのならば、公道走行するにしても、新型ロゴを採用した方が、ユーザーはもとより産業界や、さらに機関投資家に対するインパクトはより強くなったと思う。
その機関投資家への対応が、このコンセプトモデル登場の第2の理由だと思う。いわゆる、ESG投資への対策だ。
ESG投資とは「従来の財務情報だけではなく、エンバイロンメント(環境)、ソーシャル(社会)、ガバナンス要素も考慮した投資」(経済産業省)を指す。
単純なブランドイメージとしてだけではなく、ESG投資への対応を見据えた企業全体として目指す方向をイメージ化させる。そうした狙いが、このコンセプトモデルに見え隠れる。