【プリウスのミライ】ウーブンシティから考える2035年のトヨタ・プリウス
公開 : 2021.02.04 05:45
トヨタが建設する未来型実験都市のウーブンシティの姿から、開発が進む未来のプリウスを推測してみました。
ウーブンシティとプリウス
次の次の世代、6代目プリウスはどんなクルマになっているのだろうか?
トヨタの先進的な技術開発をおこなう、ウーブン・プラネット・グループのオープニングイベントをオンラインで視聴しながらそう思った。
TRI-AD(トヨタ・リサーチ・インスティチュート・アドバンスド・デベロップメント)が持ち株会社制となり、統括会社のウーブン・プラネット、ソフトウエア開発のウーブン・アルファ、自動運転の開発を主体とするウーブン・コア、そして投資を担当するウーブン・キャピタルという布陣となった。
一般ユーザーにとって、こうしたクルマのソフトウエアを中心とする研究開発に興味がある人はあまり多くないだろう。
だが、ウーブン・プラネットは、いわゆる先行開発部隊ではなく、あくまでも量産(トヨタ用語では、号口:ごうぐち)の開発が前提であり、なおかつ高級車からエントリーモデルまで幅広く影響を与えるような、クルマづくりのベースとなる技術革新をおこなっており、結果的にユーザーが近未来に実体験する技術が満載だ。
今回のオンラインイベントで「プリウスの未来」について具体的な技術の提示があったワケではないのだが、トヨタの技術革新の象徴として、ウーブン・プラネットがプリウスに与える影響は大きいと思う。
具体的にどういうことか?
2035年電動化の影響
まず、電動化についてだ。
これまでの世界の流れを振り返ると、90年代から米カリフォルニア州のゼロ・エミッション・ビークル(ZEV)法が、世界で最も厳しい電動化施策としての知られてきたが、そのなかで大量生産型の電動車として、プリウスの存在感は極めて大きかった。
ハリウッドの有名俳優などセレブリティが「地球環境へのやさしさ」からプリウスを日常移動のクルマとして選んだことから、ハイブリッド車に対する消費者のイメージは大きく変わった。
実際、1990年代から2000年代にかけて、筆者は全米各地で各種の取材しながら、プリウスがもたらした社会の変化を肌で感じた。
一方で、一般的なアメリカ人は日常利用での走行距離が長いため、ガソリン小売価格が一気に上昇すると燃費を気にして、プリウスなど販売実績が上昇するという因果関係が明確になった。
こうした、カリフォルニア州が主導する電動化の流れに加えて、2010年代からは欧州全体でのCO2規制強化と、フランスやドイツなど欧州各国の電動化施策の打ち出し、さらに2010年代後半からは中国の新エネルギー車(NEV)規制と、電動化の流れが一気に加速。
日本では2020年12月、国がグリーン成長戦略を表明し、それをもとに菅義偉総理大臣は2021年1月の通常国会で「2035年の電動化義務化」を明言した。
そこでプリウス……。