【後輪駆動が一番楽しい】ポルシェ・タイカンRWDへ試乗 475ps 最軽量のタイカン
公開 : 2021.02.17 08:25 更新 : 2021.05.18 16:19
ポルシェの純EV、タイカンのエントリーグレードは後輪駆動。軽量で安いと良いことずくめ。いま買える純EVで一番楽しいと、英国編集部は評価します。
タイカンで一番軽い後輪駆動
大きなピンク色のボディに、タイカンとだけ記されている。ポルシェ製純EVサルーンに追加された、グレードのリアエンドにあしらわれたエンブレムのことだ。
ターボSも4Sも付かない。ただのタイカン。英国での価格は7万690ポンド(1017万円)から。シンプルなモデルだが、ほかのタイカンに比べて魅力で劣るわけではない。
これまでのタイカンのフロントから駆動用モーターが取り外され、後輪駆動になっている。タイカンのなかでは、という前提付きながら、一番軽量なモデルでもある。
バッテリーの容量は2種類から選べる。グロス値で79.2kWh、利用可能容量で71kWhの標準バッテリーを搭載しても、車重は2050kg。やはりまだ2tは超えている。
今回の試乗車にはグロス値で93.4kWh、利用可能容量87.3kWhのオプション・バッテリーが積まれており、車重は2130kgになっていた。全長5mの電気自動車として重すぎることはないものの、同程度のボディを持つパナメーラより270kgは重たい。
4049ポンド(58万円)のオプションとなる、このパフォーマンス・バッテリー・プラスを選ぶとタイカンをよりパワフルにもできる。通常のタイカンでは、最高出力は326ps。ローンチコントロール使用中は407psを引き出せる。
87.3kWhのバッテリーを搭載すれば、通常走行時は380ps、ローンチコントロール時は475psまで高められる。タイカンでドラッグレースをする人は、少ないと思うけれど。
パワフルなタイカンより運転が楽しい
パワーウエイトレシオも改善する。標準のバッテリーなら159ps/tだが、パフォーマンス・バッテリーなら178ps/tに高まる。ただし、それでもフォード・フィエスタSTよりは小さい。
航続距離は、71kWhのバッテリーで431km、87.3kWhのバッテリーで484kmがうたわれる。数字の連続で、ちょっとややこしくなってしまった。
ドアを開き、美しく上品に仕立てられたインテリアに体を沈める。試乗日はとても寒く雨が降っており、バッテリーは満充電ながら、出発時点での航続距離は354kmが表示されていた。
筆者が試乗した限り、その距離へ届くことはできなかった。もし484kmをタイカンで走りたいなら、充電ケーブルをつないだまま車内のコンディションを整えておき、出発したら気張った運転はしない方が良いだろう。
一番手頃なタイカンで走り始めると、運転がとても楽しいことに気づく。よりパワフルなタイカンより楽しい。
停止状態からの加速力は爽快なほど力強く、しっかりポルシェらしさを感じる。後輪駆動だから、運転する手応えもより大きい。
主に駆動用モーターがなくなったことで、フロント側は約90kg軽くなっている。フロントタイヤに掛かる荷重が減り、ステアリングフィールは四輪駆動のタイカンより優れる。今まで試乗したタイカンもステアリングは正確だったが、どっしりした感覚があった。
後輪駆動のタイカンは、そこへ繊細さが加わっている。あえていうなら、もう少しポルシェ911に近づいた印象だ。