【業績回復も先行き不透明?】トヨタ・日産・ホンダ決算発表を振り返る
公開 : 2021.02.13 05:45
トヨタ・日産・ホンダが決算発表をおこない、業績は回復基調にあります。各社の発表を振り返ります。
回復基調で安堵感
2021年2月に入り、自動車メーカー各社が今期第3四半期の決算発表をおこなった。
コロナ禍でオンラインでの実施が定常化し、登壇する自動車メーカーの役員、そして質疑応答する報道陣もニューノーマルに対する違和感がなくなってきた。
会見を観て、各社共通なことだと思ったのは、経営陣の表情が昨年に比べてかなり和らいだという点だ。
2020年を振り返ってみれば、春先の決算会見は、世界最大の自動車生産・販売国の中国で新型コロナ感染症拡大の影響が深刻化し、また欧州やアメリカの大都市でのロックダウン、さらに日本での緊急事態宣言という有事となったことで、日系メーカーではトヨタを除き、通期の業績見通しについて「市場の先行きが不透明のため、発表を控える」という動きが広がった。
これが、秋口の中間決算になると、中国での感染の影響が低くなり自動車販売は第2四半期から好転した。
次いで、コロナ禍にもかかわらず、アメリカや欧州では第3四半期から販売の回復基調が見えてきた。
日本市場についても、欧米に比べると上期の販売落ち込みが少なく、感染拡大の第1波から第2波にかけての第3四半期では各社の新車攻勢などによって販売台数は着実に上向いている。
こうした状況で、これから市場はどう動くと、各メーカーは見ているのか?
ホンダ軽電動化へ
日系ビック3それぞれの第3四半期決算について、発表の実施順でみていこう。
まずはホンダ。
販売台数は、第3四半期は138万台となり前年同期比で13.3%増となった。ただし、今期9か月間での累積では、上期も落ち込みが大きく、前年同期比38.4%減の342万5000台にとどまった。
第4四半期は世界的な回復基調は続くものの、通期業績見通しでは2019年の479.0万台に対して450万台とした。2020年11月発表の通期見通しでは460万台としたが、半導体の供給不足による北米製造拠点での減産など影響を加味した。また、連結営業利益では4470億円となった。
2020年4月1日付の、四輪量産部門に関する本田技研工業と本田技術研究所との連携を強化する大規模な組織変革など、事業活動を全社横断で実施し、販売費や一般管理費を抑制した効果などが出た。そして、通期の営業利益見通しは先回の1000億増の5200億円に上方修正した。
販売総数は減少しても、利益が上がったのだ。
商品企画や営業などをホンダ本社がおこない、研究所が研究・開発を本社から請け負うというホンダ独特の経営体系を見直すことで、経営の効率化が一気に進んでいることを証明した結果だと思う。
今後の商品開発で気になる軽の電動化について、会見した倉石誠司副社長は「もちろん念頭に入れている」と答えた。次期Nボックスの電動化に期待がかかる。