【ポルシェはRRかEVか】911カレラS vs タイカン4S 前編 動力性能と価格は同等

公開 : 2021.02.14 12:05

EVへの移行が加速する世界的な流れの中にあって、ポルシェはタイカンで性能面の大きなリードを奪いましたが、それは自社の伝統をも覆すレベルなのでしょうか。MTの911との比較で、その答えを探ります。

時代の転換点に試したいこと

text:Andrew Frankel(アンドリュー・フランケル)
photo:Luc Lacey(リュク・レーシー)

今回のテストを思いつき、はじめてテスター陣に提案したのは1年ほど前のことだった。ポルシェの現行モデルから、伝統的モデルの最も古典的な仕様と、最新モデルを連れ出して比較しようというものだ。

これは、単にガソリン対電気という構図ではない。アナログとデジタルの両極であり、内燃エンジンとマニュアルトランスミッションを積んだ後輪駆動車と、地味さをカバーするためのステアリングパドルさえない電動四輪駆動車の代表格でもある。

この対決の原案は1年ほど前に思いついたが、実施までには時間を要した。その原因のひとつはコロナ禍で、911のMT仕様の生産が遅れたことだ。
この対決の原案は1年ほど前に思いついたが、実施までには時間を要した。その原因のひとつはコロナ禍で、911のMT仕様の生産が遅れたことだ。    LUC LACEY

そのアイデアをプレゼンした後、さまざまなことが起きたが、やはりいちばん大きな出来事は地球規模のパンデミックだ。ポルシェも、911に関しては2ペダルの需要を満たすのに精一杯で、マニュアルが加わってもすべてアメリカへ送られた。この手のクルマにとって最大のマーケットだけに、そちらが優先されるのは仕方ないことだ。

そして、ついに992のMT仕様が英国に導入されても、まずは納車を待ち続けたお得意様に納車され、プレス向けの貸し出しは二の次にされた。これも仕方のないことだ。

時代の転換点に試したいこと

今回のテストを思いつき、はじめてテスター陣に提案したのは1年ほど前のことだった。ポルシェの現行モデルから、伝統的モデルの最も古典的な仕様と、最新モデルを連れ出して比較しようというものだ。

これは、単にガソリン対電気という構図ではない。アナログとデジタルの両極であり、内燃エンジンとマニュアルトランスミッションを積んだ後輪駆動車と、地味さをカバーするためのステアリングパドルさえない電動四輪駆動車の代表格でもある。

この対決の原案は1年ほど前に思いついたが、実施までには時間を要した。その原因のひとつはコロナ禍で、911のMT仕様の生産が遅れたことだ。
この対決の原案は1年ほど前に思いついたが、実施までには時間を要した。その原因のひとつはコロナ禍で、911のMT仕様の生産が遅れたことだ。    LUC LACEY

そのアイデアをプレゼンした後、さまざまなことが起きたが、やはりいちばん大きな出来事は地球規模のパンデミックだ。ポルシェも、911に関しては2ペダルの需要を満たすのに精一杯で、マニュアルが加わってもすべてアメリカへ送られた。この手のクルマにとって最大のマーケットだけに、そちらが優先されるのは仕方ないことだ。

そして、ついに992のMT仕様が英国に導入されても、まずは納車を待ち続けたお得意様に納車され、プレス向けの貸し出しは二の次にされた。これも仕方のないことだ。

アナログは道を譲る運命か

この2台のスペックを比較して、どうしてわれわれがこの組み合わせに固執したのか、疑問に思う読者も少なくないだろう。かたや2ドアで、もう一方は4ドアだし、タイカンは全長もホイールベースも50cmほど長く、10cmも幅広く、8cmほど高い。

加えて740kgも重い。その差より軽いクルマもあるくらいだ。比較対象は違うクルマにするべきだったのだろうか、という声があるとしても理解できる。たとえば、パナメーラとか。

今回はアナログとデジタルの代表として、911のMT車とタイカンを比較した。機会をみてパナメーラとの比較も試みたいが、敢えて象徴的なセレクトとした。
今回はアナログとデジタルの代表として、911のMT車とタイカンを比較した。機会をみてパナメーラとの比較も試みたいが、敢えて象徴的なセレクトとした。    LUC LACEY

われわれとしても、その比較は別の機会に行いたいところだが、今回の趣旨とは異なる。世の中的にはタイカンのような電動化モデルが、911のようなICE、すなわち内燃エンジン車にとって代わるのも、自動車の歴史的にみればそれほど遠くないことだと思われているようだ。それが正しいか否か、またいいことかどうかは別として。

そこで、多くのひとびとにとって、新時代のクルマの中でも最上の部類に入るものが、伝統的なアプローチが産んだ傑作を上回る選択肢となるまでにあとどれくらいかかるのか、それを探ろうというのが、この比較テストの趣旨だ。言い換えるなら、革新は進化を超えることができるのか、それを知りたいのだと言ってもいい。

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