【納期のびるも……】クルマの売れ行きのびないワケ メーカーは納期短縮の努力を
公開 : 2021.02.19 05:45 更新 : 2021.10.22 10:13
コロナ禍でもクルマの需要は意外に落ちなかったものの売れ行きは伸び悩み。その原因として納期の長期化を指摘します。
コロナ禍でも意外に需要落ちず
2020年はコロナ禍でさまざまな産業が打撃を受けた。
クルマの売れ行きも下がったが、2019年に比べると12%の減少にとどまる。その背景にはクルマの商品特性があった。
クルマは生活に欠かせないツールで、経年劣化も生じるから、定期的に乗り替える必要がある。しかも高額商品だから、唐突な購入はできない。ユーザーは車検期間の満了などにあわせて、あらかじめ乗り替える時期を決めている。
そうなるとコロナ禍の最中でも、一定の売れ行きは保たれた。販売店が対策を施しながら営業を続けていたことも理由の1つだ。
クルマは故障したり車検を受ける必要が生じるため、販売店が営業を続けた事情もあった。
それでも2020年4月から6月は、国内販売の対前年比がマイナス20-45%になったが、その後、減少傾向は一定収まった。この時点ではコロナ禍の影響は小さいとみられていた。
ところがその後の回復が遅い。2020年10月以降は対前年比がプラスに転じたが、2年前の2018年の実績は超えていない。2019年10月には消費税が10%に増税され、大幅な減少はなかったものの、対前年比で10-25%落ち込んだからだ。
そこで2020年を2018年と比較すれば、依然として13%のマイナスだ。4月から6月の落ち込みを挽回できるほど、売れ行きは伸びていない。
回復遅い2つ理由
売れ行きが回復しない理由を販売店に尋ねると、大きく分けて2つの意見が聞かれた。
1つは「コロナ禍の影響で、市場の購買意欲が下がった」というものだ。
前述のとおり今の自動車需要は約80%が乗り替えによるものだから、コロナ禍でも一定の需要は保たれた。
しかし、販売店によると「将来の所得に不安を感じているお客さまも少なくない。実際に所得が減った方もおられる。愛車の車検を受け、購入を先送りしたケースもある」とのこと。
クルマには嗜好品的な性格もあるから、世の中の雰囲気が沈滞していると、クルマを買う気分が削がれる面もある。
2つめの理由は納期の長期化だ。
販売店からは「コロナ禍の影響でパーツの供給が滞りやすく、2019年に比べて納期が伸びた」という話が聞かれる。さらに直近では、半導体の品不足も生じた。海外を含めてクルマの需要と生産が急速に回復し、スマートフォンなどクルマ以外のニーズも増えているからだ。
半導体の不足が納期に与える影響はメーカーによって異なるが、スバルの販売店からは「納期が全般的に伸びた。とくにレヴォーグの場合、新型車でもあるから納期が3~4か月はかかる」といわれた。
日産では「ノートの納期が長く、3か月程度を要する。ディーラーオプションのETCユニットが間に合わないこともある」という話も聞かれる。