【EVへコンバージョン】フォルクスワーゲン・タイプ2 リーフ用ユニット搭載 前編
公開 : 2021.02.23 09:45 更新 : 2021.05.18 16:19
VWのクラシックを純EVへコンバージョンするレイシー。作業には賛否両論あるものの、確かな需要はある様子。英国編集部がeダブ社を訪問しました。
既存のハードポイントを利用し変更
AUTOCAR読者の中には、BMW E21のようにシンプルなクラシックに改めて乗りたい、と考えている人もいるだろう。では、エンジンが電気モーターとインバーターに置き換わり、リアシートの下に駆動用バッテリーが載るタイプ2はいかがだろう。
今回訪問したキット・レイシーが営む英国のeダブ・サービシズ社は、内燃エンジンを搭載したクルマを、電気自動車に改造してくれる。2代目フォルクスワーゲン・ゴルフGTIが純EVになった姿を、英国の街なかで目撃したこともある。
ホットハッチのキングからは、1.8Lのガソリンエンジンが抜かれていた。筆者の心が熱くなることは、その時はなかった。
しかし仕上がりは良いのだろう。レイシーはスマートフォンの画面で、特徴的なゴルフ用サブフレームの形状を3DのCG映像で見せてくれた。
「構造設計は最も難しい部分です。しかしコンバージョンを成功させるうえで、非常に重要です」。とレイシーが説明する。
「ボディにある既存のハードポイントを利用しながら、駆動用モーターを搭載する設計が成功の鍵。モーターの搭載位置が決まれば、ドライブシャフトやバッテリー、その他の補機類を載せていきます」
ホットハッチのアイコンともいえる、ゴルフGTIをバッテリーで動く電気自動車にしてしまうなんて、と嘆かないでほしい。eダブ社は、すでに次の計画を進めている。空冷のポルシェ911の純EV化だ。
以前からVWタイプ2のファンだった
レイシーが話を続ける。「クルマに合わせて変更が効く、スタンドアロン・キットとして設計を進めています。お客様はクルマを持ち込んで純EVに変えるか、コンバージョンの済んだクルマを購入するかを選べます」
なぜこのようなアイデアに至ったのだろう。きっかけの1つは、彼のお母さん。彼女は2011年に日産リーフを購入した。周囲よりかなり早い動きだった。大学では、バッテリーの劣化を専門に研究する講師にも出会った。
レイシーは、純EVに対する経験や資質はないと控えめに話す。でも彼はしっかり計画を練り、適したエンジニアを雇い、プランを具現化させている。
「以前からフォルクスワーゲン・タイプ2のファンでした。また、ポルシェやスバルのエンジンをアップデートすることには、多少の経験があります。でも今では、純EVへのコンバージョンにすっかり魅了されています」
「アメリカから輸入されたコンバージョン後のタイプ2に出会ったんです。レストアはほぼ済んでいて、グレーのプライマー(下地塗装)でボディが塗られていました」
「そのタイプ2を右ハンドルに改造してもらい、キャンパー仕様のルックスに仕立てました。純EV用のシステムは完璧ではありませんでした。バッテリーの管理は、太陽光発電のシステムを流用したベーシックなもの。欠陥も含まれていました」