【性能には影響なし?】ポルシェ、合成燃料の試験開始 2022年から CO2排出量大幅削減
公開 : 2021.02.17 06:45
ポルシェは人工の合成燃料の試験を来年から開始。エンジン改造や性能低下なしで排出量削減を実現するとのこと。
2022年から南米工場で生成開始
ポルシェのスポーツカー部門の責任者、フランク・ワライザーは、来年から独自の合成燃料の試験を開始することを目指していることを明かした。既存の内燃機関にも改造無しで使用できるような燃料にする予定だという。
新型911 GT3の発表に先立ち、彼は次のように述べた。「わたし達は南米のパートナーとともに、軌道に乗っています。2022年の最初のトライアルでは、非常に少量のボリュームになるでしょう」
「莫大な投資を伴う長い道のりですが、CO2排出量削減に向けた世界的な取り組みの重要な一部であることは間違いありません」
同社は昨年、エネルギー企業のシーメンス・エナジー、AME、エネル、そしてチリの石油会社ENAPと提携し、合成燃料(eフューエル)の商業生産のためのプラント開発を目指すと発表した。
「ハルオニ」と呼ばれる第一段階では、風力発電により合成燃料を生産するため、風の条件に優れたチリ南部を使用することになっていた。同工場は2022年までに操業を開始し、2024年は5500万Lを、2026年にはその約10倍の合成燃料を生産する予定である。
ポルシェのオリバー・ブルーメCEOは、このプロジェクトを開始した理由について次のように述べている。
「導入のしやすさに利点があります。eフューエルは内燃機関やプラグイン・ハイブリッドに使用でき、既存のガソリンスタンドのネットワークを利用することができます」
この点についてはワライザーも同様の見解を示している。
「この合成燃料の背後にある基本的な考え方は、これまでのE10やE20とは異なり、エンジンに変更を加える必要がないということです」
「パフォーマンスには何の影響もありません。それでいて粒子やNOxの排出量ははるかに優れています」
内燃機関の寿命延長につながる?
ポルシェは、パナメーラとカイエンのハイブリッドモデルや完全EVのタイカンなど、ラインナップの電動化に多額の投資を行っているが、合成燃料を使用することで、既存の車両の排出量を削減できる可能性がある。ブルーメCEOは以前にも、合成燃料が純内燃機関の911の寿命を延ばすことを望んでいると話していた。
ワライザーはその利点を概説した。
「合成燃料には約8~10種類の成分が含まれていますが、現在の燃料には30~40種類が含まれています。人工的な合成燃料なので、副生成物がなくクリーンであり、エンジンにとってプラスに働きます」
「本格的に使用するようになれば、CO2排出量を約85%削減できると予想しています。ウェル・トゥー・ホイールを考えると、グローバルなサプライチェーンとそれに関連するすべてが効率的になります。ウェル・トゥー・ホイールではEVと同じレベルです」
ポルシェの兄弟ブランドであるフォルクスワーゲンとベントレーも、内燃機関モデルを維持するための手段としてeフューエルの使用を検討している。マクラーレンも昨年、この技術の実現可能性を実証するためのプロトタイプの開発に取り組んでいることを明らかにした。