【世界初仕様を体感】アクセルリング手動走行 マツダの「モノづくり」再確認

公開 : 2021.02.28 05:45

マツダ「セルフ・エンパワーメント・ドライビング・ビークル」。マツダが開発した世界初の機能を体験しました。

MX-30 EV公道試乗の際に体験

text:Kenji Momota(桃田健史)
editor:Taro Ueno(上野太朗)

マツダ初の量産型EV、MX-30のEVモデルを試乗した……。

公道試乗の後に乗った、別の仕様車の体験がとても興味深かった。

マツダMX-30(セルフ・エンパワーメント・ドライビング・ビークル)
マツダMX-30(セルフ・エンパワーメント・ドライビング・ビークル)

まず、ベースとなるクルマについてあらためて紹介する。

車両寸法は、全長4395mm×全幅1795mm×全高1565mm、ホイールベースは2655mm。マツダが「スモール商品群」と呼ぶ、マツダ3CX-30とプラットフォーム(車体)を共有する。

MX-30は2020年10月に、マツダがeスカイアクティブGと呼ぶ、マイルドハイブリッド車として発売されているが、同年夏には欧州市場でMX-30 EVモデルが先行発売されている。

これは、マツダ電動化戦略の基本である、国や地域の社会状況、電力供給システム、そしてユーザーや販売店の電動車に対する考え方などを加味した、適材適所の電動化によるものだ。

電池容量は35.5kWhで、最大出力は197ps、最大トルクは27.6kg-m、満充電での航続距離はWLTCモードで256kmとした。

日本市場向けでは、2021年1月からMX-30 EVモデルの販売が始まり、2月になってから報道陣向けの公道試乗会が実施された。

その案内状のなかに、福祉車両の試作車の構内試乗という項目があった。

正式名称は、マツダ「セルフ・エンパワーメント・ドライビング・ビークル」という。その発想の背景にあるのは「わたしらしく生きる」という、MX-30の商品コンセプトであり、マツダの思想だ。

マツダの思想「わたしらしく生きる」

MX-30の開発を統括する、主査の竹内都美子氏は、2019年の東京モーターショーでMX-30を世界初公開した際から、一貫して「わたしらしく生きる」という言葉をユーザーに語りかけてきた。

以下、マツダの資料から引用する。

マツダMX-30(セルフ・エンパワーメント・ドライビング・ビークル)
マツダMX-30(セルフ・エンパワーメント・ドライビング・ビークル)

「自分の思いを実現するために動く、自分で運転して自分で行きたいところへ行ける、自分の力で人生を歩んでいく、そんな1人の人として自分らしく生きる『あなた』を尊重・大切にし、ともに歩みたいと考えています」。

「心と体を元気にし、人生の輝きを手にしていただける姿に貢献したいと思っています」(本文ママ)。

これは決して、福祉車両を念頭に置いた言葉ではなく、100年に1度の自動車産業大変革期のなかで、マツダがマツダらしく生き残っていくために「われわれはこれから、どう歩んでいくべきか」を自問自答したうえで、自然なかたちで出てきた言葉だと思う。

こうしたなかで、MX-30セルフ・エンパワーメント・ドライビング・ビークルは、マツダのモノづくりに対する基本姿勢が具現化されている。

マツダはいまから59年前、マツダ初の四輪車R360クーペに手動運転装置を開発し発売した。

3代目社長の松田恒次氏は足が不自由であったこともあり、マツダの記録によれば、「すべての人にクルマを持つ当たり前のしあわせを提供したい」という想いがあったとされている。

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