【DBXが回復の鍵を握る】アストン マーティン 2020年販売台数、前年比32%減 在庫削減に動く

公開 : 2021.02.26 06:05

アストン マーティンは2020年の販売台数を大きく落としましたが、新型DBXが業績回復を牽引しています。

ヴァルキリー、DBX、F1

text:Felix Page(フェリックス・ペイジ)
translator:Takuya Hayashi(林 汰久也)

アストン マーティンの2020年の販売台数はパンデミックの影響で大きく落ち込んだが、新型SUV「DBX」の人気が最終四半期に回復に拍車をかけた。

小売販売台数は4150台で、前年同月比32%の減少。卸売台数(ディーラーへの販売)は3394台で前年同月比42%減となった。

トビアス・ムアースCEO
トビアス・ムアースCEO

その結果、年間売上高は前年の9億8050万ポンド(1470億円)から6億1180万ポンド(910億円)に減少し、3億2300万ポンド(485億円)の損失を計上した。

そんな中にあって、新型DBXは総販売台数の4分の1以上を占めており、第4四半期だけで1171台と好調な販売を見せている。「小売店の資金調達支援の削減」などと合わせ、3%の四半期売上増を記録した。

年末のキャッシュリザーブ総額は4億8900万ポンド(735億円)で、2019年12月の1億800万ポンド(162億円)を大幅に上回った。同社はこれを「財務の回復力を強化し、成長をサポートするリファイナンス」としている。

純負債は前年同期の9億8800万ポンド(1485億円)から7億2700万ポンド(1092億円)に減少し、株主資本は3億3000万ポンド(496億円)から8億400万ポンド(1208億円)に上昇したが、これは億万長者のローレンス・ストロールが1月にアストンの株式を16.7%取得したことと、メルセデス・ベンツが出資比率を20%に引き上げたことによるものだ。

新CEOのトビアス・ムアースは、パンデミックを受けて「成長、敏捷性、効率性を推進する」ための新戦略「プロジェクト・ホライズン」戦略の詳細を明らかにした。今年の優先課題は、ハイパーカーのヴァルキリーの納車開始と、DBXの派生モデルを発売することである。

ムアースは次のように述べている。

「高級車や自動車関連の経験豊富な人材を採用し、経営陣をさらに強化しました。また、今シーズンからF1チームのアストン マーティン・コグニザントがグローバルに活動することで、ブランドの認知度をさらに高めることができます。これらのアクションと再融資により、世界クラスの高級車メーカーを目指す変革的な成長計画を実現するための適切なチーム、パートナー、資金を確保しました」

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