【バランス良くイイ感じ】ポルシェ・タイカン・クロスツーリスモ・プロトタイプへ試乗 前編
公開 : 2021.02.27 08:25 更新 : 2021.05.18 16:24
実用性と車高を高めたタイカン・クロスツーリスモ。動的性能やまとまりの良さは、通常のタイカンから継承しているようです。英国編集部が試作車を評価しました。
今のポルシェにとって要のモデル
純EVのタイカンが、ポルシェだけでなく、自動車業界全体に与えた影響は誇張せずとも大きい。多くの人々へ、電気自動車に対する考えを改めさせた。ポルシェが推し進めるビジネスの焦点がシフトしたことを、物質的に表したモデルでもある。
純EVの開発だけでなく、ポルシェがデジタル部門の子会社に対しても巨額の投資をしている事実を見れば、それは疑いようがない。ポルシェ社内にもフォワード31という部門を立ち上げ、デジタルビジネスを推進している。
タルガ・フローリオやル・マンでの活躍で、ブランドを定義する姿とはかけ離れている。エンジンで動くクラスを代表するスポーツカーだけで、ポルシェを形成する時代は終わったのだ。
今やタイカンは、ポルシェにとって要となるモデル。高性能な電気自動車は、デジタル部門との協働で成り立っている。タイカンがモデルバリエーションを増やすのは、当然のことだろう。
その最初の1台が、このタイカン・クロスツーリスモ。今回は開発途中のプロトタイプへの試乗となった。2021年に発表予定の量産版に、すでにだいぶ近い内容だという。
写真をご覧いただければわかるとおり、スポーツサルーンのタイカンから実用性を高めてある。ポルシェ・パナメーラと、パナメーラ・スポーツツーリスモとの関係に似ていると考えるとわかりやすい。
開放的で余裕を増した車内
タイカン・クロスツーリスモには、最大で1200Lの大きな荷室が用意されている。トノカバー下では目立って大きな差はないようだが、正式な容量は追って明らかとなる。
少なくとも、家族4人とその荷物を簡単に運べるポルシェであることは、間違いないだろう。しかも、パワフルな純EVだ。
専用ホイールや、オプション設定となる大きなパノラミック・グラスルーフ、ルーフレールなどが見た目の違いを主張する。2018年に公開された、コンセプトカーのミッションEクロスツーリスモのように、フェンダーアーチにはエクステンションも付く。
タイカンとしては初めて、ヒッチメンバーも指定できる。といっても、トレーラーを牽引できるわけではなく、自転車のキャリアを固定するものだという。ライフスタイル・ビークルでもある。
ルーフラインが異なり、リアシート側では頭上空間で36mmも余裕が増した。数字としては大きいものではないが、大面積のグラスルーフと相まって、リアシートから眺める車内はかなり開放的に感じられる。
クロスツーリスモでも、通常のタイカンと同様にスケートボード構造で、バッテリーはシャシーのフロア下。つま先が入る空間も広く、快適なリアシートだ。
ダッシュボードの造形も、基本的には通常のタイカンと同じ。スポーツクロノ・パッケージでストップウォッチが収まる部分に、コンパスが収まる違いでクロスオーバー感を高めている。