【その名は紅旗「H9」】日本初販売の純中国車 デザインに思い 「白銀比」とは
公開 : 2021.03.01 05:45 更新 : 2022.03.25 18:50
日本に正規輸入される初の純・中国車の紅旗H9。その正体に迫ります。デザインには深い思いが込められています。
中国の「紅旗」どんなブランド?
紅旗(ホンチー)とは中国第一汽車集団公司(第一汽車:FAW)が生産する高級車ブランド。
第一汽車は1953年に中華人民共和国で最初に設立された国営自動車メーカーで、乗用車が登場したのは1958年。
「東風」と「紅旗」の2ブランドを同時発表しており、1958年に納車されたのが1号車「東風」(CA71)、翌1959年9月に2号車「紅旗」(CA72)が納車されている。
CA72発表時から使われているのが、現在も続く「紅旗」エンブレムである。独特の書体で書かれた「紅旗」の文字は、中国建国の父、毛沢東によるものだ。
現在、「紅旗」には大きくわけて2つのシリーズがある。
1つは「Lシリーズ」だ。これは1960年代に誕生した紅旗 CA770からデザインの着想を得ており、重厚で伝統的なスタイルが特徴。
Lシリーズにはホイールベースの異なるL5、L7、L9の3モデルが用意されており、CA7600Lという型番が与えられているL9は、2009年に戦勝パレードにて胡錦濤前国家主席が乗る閲兵車として初めて公の場に登場した。
ルーフは後部座席の位置にサンルーフと4本のマイクが備えつけられており、そこから胡錦濤前国家主席は立って挨拶をおこなった。
3800mmのホイールベースを持つL9に比べ、少し短めなホイールベースを持つのがL7やL5だ。
なかでも最も一般的なモデルがL5で、これは購入に際しての諸々の厳しい審査に通れば一般市民でも購入が可能となっている。ちなみにすべてのモデルに6.0L V型12気筒エンジンが搭載されている。
もう1つが今回、日本初上陸を果たしたH9をフラッグシップとする「Hシリーズ」だ。
こちらはよりモダンな見た目を持つシリーズで、セダンやSUVなどのバリエーションも豊富。
セダンはH5、H7、H9の3モデル。SUVはE-HS3、HS5、HS7、そしてE-HS9が存在する(E-がつくモデルは電気自動車)。
世界最速レベルのハイパーカーも発表
紅旗といえば歴史と伝統のある高級車というイメージが長かったが、2019年9月に開催されたフランクフルト・モーターショーにはハイパーEV「紅旗S9」を出展し世界を驚かせた。
見た目のインパクトも凄いが、最高出力1400ps超、0-100km/hわずか1.9秒で最高時速は約400km/hと世界最速レベル。
2021年2月上旬、中国/アメリカ/イタリアの3国の政府や企業によって生産開始の正式な契約が発表されている。
ちなみに、Sシリーズでデザインの総指揮を行うのは、アルファロメオ156やアウディTTなどのデザインを手がけたデ・シルバ氏だ。自動車デザインの世界的巨匠といえる人物である。
話をH9に戻そう。
今回、日本に上陸したH9は48Vマイルドハイブリッドシステムを搭載する2L直列4気筒ターボと、3L V型6気筒スーパーチャージャー付の2種類のパワートレインが用意されている。
2Lモデルは3グレード、3Lは5座と4座の2グレードがあり、いずれも第一汽車オリジナルエンジンを搭載する。
中国での販売価格は2Lモデルが30万9800元(497万6000円)から、3Lモデルが45万9800元(738万4500円)から。
最上級の3.0Lは4人乗りで、53万9800元(878万6000円)である。