【日産ノート試乗】走りの「質」向上 ラインナップの中核担う「プレミアム感」

公開 : 2021.03.04 05:45  更新 : 2021.10.11 14:50

日産ノートに試乗。国内ラインナップの中核を担うノートは走りの質が向上、プレミアム感が魅力のモデルといえます。

ノートの立ち位置は?

text:Shigeo Kawashima(川島茂夫)
photo:Satoshi Kamimura(神村 聖)
editor:Taro Ueno(上野太朗)

国内向け現行ニッサン登録車ラインナップのどこに新型ノートを置けば1番しっくりくるか。

現在、SUV系とスポーツカー、および生産終了モデルを除いたラインナップは6車種。

日産ノート
日産ノート    神村 聖

このなかでは、上級のFRセダンが3モデルなので、標準系は3モデル。価格や先進性を考慮するならリーフが標準系最上位モデルとなるが、航続距離や急速充電インフラの点から肝心の「実用」で分が悪い。

結果、ノートはマーチスカイライン未満をカバーしなければならない。トヨタ車のラインナップならヤリスからプリウスを1モデルで賄うようなものだ。

キャビンユーティリティ重視のタウン&ファミリー用途は軽乗用のデイズ/ルークスがカバーしているので、プレミアム志向の強いダウンサイザー向けコンパクトが立ち位置。

あるいは実践的なリーフという見方もできるが、いずれにしても「プレミアム」は新型ノートにとって商品価値の根幹を成し、eパワー専用車としたのも理解できる。

しかも、内外装を飾りつけた表層の演出ではなく、快適性や走りの質感というハードウェアや制御の実力が試される部分に注力。「本物」を目指して開発されたと換言してもいいだろう。

その「プレミアム」の実現には進化したeパワーも大きく作用し、新型ノートがスカイライン未満をカバーする正真正銘のプレミアムコンパクトとするための必須条件と考えていいだろう。

新型は走りの質が向上

新型ノート用eパワーはPCU(パワーコントロールユニット)も含めて新開発され、新旧で駆動用モーターのパワースペックを比較すると最高出力で約6%、最大トルクで約10%向上している。

最大トルク発生回転域が多少狭まったものの、車重や総減速比はほぼ同じなので、パワーアップ分はそのまま動力性能の向上に繋がる。

日産ノート
日産ノート    神村 聖

ただし、新型の動力性能の本領は速さではない。速さを感じさせない力、量よりも質を高めるゆとりが見所だ。

滑らかで力強い発進。0rpmから最大トルクを発生できる電動モーターにすれば力強い発進は当然だが、急激な駆動力が加われば駆動伝達機構やタイヤの弾性(歪み)で駆動トルク変動が起きやすい。

そこでトルク増時の過渡特性やトルク変動を打ち消すトルク制御をおこない、力強さと滑らかさを両立させる。従来のeパワーから採用されている制御技術だが、特性が変わっていた。

従来車は初期トルク立ち上げが大きめのパンチが利いた加速感、新型は、初期は抑えめに連続的に加速が増す繋がりのいい加速反応を示す。

ワンペダルモード時のエンブレ回生時の制御も同様で、従来車では唐突にエンブレが入るような感じで空走から緩エンブレのコントロールに神経を使わされたが、新型は大きく改善されている。

効率のいい運転では空走から緩減速を穏やかに繋ぐための扱いやすさは必須。スムーズな走りと運転ストレスの軽減の両面からドライバーに余裕をもたらし、コンパクトな車体からは想像できない良質なドライブフィールをもたらしていた。

記事に関わった人々

  • 川島茂夫

    Shigeo Kawashima

    1956年生まれ。子どものころから航空機を筆頭とした乗り物や機械好き。プラモデルからエンジン模型飛行機へと進み、その延長でスロットレーシングを軸にした交友関係から自動車専門誌業界へ。寄稿していた編集部の勧めもあって大学卒業と同時に自動車評論家として自立。「機械の中に刻み込まれたメッセージの解読こそ自動車評論の醍醐味だ!」と思っている。
  • 神村聖

    Satoshi Kamimura

    1967年生まれ。大阪写真専門学校卒業後、都内のスタジオや個人写真事務所のアシスタントを経て、1994年に独立してフリーランスに。以後、自動車専門誌を中心に活躍中。走るのが大好きで、愛車はトヨタMR2(SW20)/スバル・レヴォーグ2.0GT。趣味はスノーボードと全国のお城を巡る旅をしている。

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